『ボヘミアン・ラプソディ』『クリード2』...RS誌が選ぶ11月全米公開の注目映画

『クリード2』で主演を務めるマイケル・B・ジョーダン(Photo by Barry Wetcher)

『ボヘミアン・ラプソディ』『クリード2』『グリーン・ブック』など、11月に全米公開される注目の映画をローリングストーン誌が紹介。

今年の秋は新作映画が豊作だ。待ちに待った伝記映画で蘇るフレディ・マーキュリー、それぞれが続編で活躍をみせるアドニス・クリードと三代目リスベット・サランデルなど、アカデミー賞有力候補と噂される作品がようやく劇場での公開を迎えるなか、ルカ・グァダニーノ、スティーブ・マックイーン、バリー・ジェンキンス、ヨルゴス・ランティモスをはじめとする華々しい受賞歴を誇る監督陣の新作も目白押し。そして忘れてはいけないのが、第二次世界大戦を舞台にしたナチスのモンスター映画。この秋の注目作を紹介しよう。

『ボヘミアン・ラプソディ』 (2018年11月9日より日本全国公開)



フレディ・マーキュリーはどのようにしてロックンロールの歴史においてかくも圧倒的な地位を手に入れたのだろう? その答えは、マーキュリーが完璧に自分のものにしていた「ドン、ドン、パン!」のリズムにある。ブライアン・シンガーが監督を務めた(終盤でが降板してしまったため、ここはひとまず括弧に入れておこう)この伝記映画では、俳優ラミ・マレックが孤独な若者、ロックオペラの女神クイーンのフロントマン、作曲家、夫、恋人、快楽主義者、AIDSの犠牲者という様々な側面を持つ、今は亡きマーキュリーを全身全霊で表現している。大きな希望を胸に抱きながらも変わり者として扱われてきた駆け出し時代のマーキュリーから、国境を超えて世界中の人々を魅了することになる名曲を生み出したスタジオセッションにいたるまで、マレックは天才マーキュリーの苦悩を見事に演じている。その偉業にガリレオ、ガリレオー!と歌ってあげたい。

『Boy Erased(原題)』 (2018年11月2日より全米公開)



19歳のジャレッド・イーモンズ(ルーカス・ヘッジズ)は米国ディープサウスの小さな町の牧師の息子として物置に隠れて生きていくことはできない。大学でのある事件をきっかけに、自身のセクシャリティを両親(ラッセル・クロウとニコール・キッドマン)に打ち明けたジャレッドは、不愉快なヴィクター・サイクス(本作の監督でもあるジョエル・エドガートンが演じた)が指揮する転向療法プログラムに参加させられる。そこで「患者」仲間たちと絆を深めるジャレッドは、プログラムから脱退する方法を模索する。本作の原作である、ガラルド・コンリーの人気回顧録はまさにアカデミー賞シーズンのために映画化されたと言ってもいいくらいだ。2018年の後半も快進撃を続けるヘッジズの演技にも注目したい。

『クリード2』 (2019年1月11日より日本全国公開)



ライアン・クーグラーから監督を引き継いだスティーブン・ケープル・Jr、新しい敵(フロリアン・ムンテアヌがドルフ・ラングレン演じるイヴァン・ドラゴの息子、ヴィクター・ドラゴ役を演じた)、そしておなじみのアドニス。残り10ラウンドに備えてボクシンググローブの紐を結び直す、フィラデルフィアに現れたヘビー級の新星マイケル・B・ジョーダンは、ボクシングとテッサ・トンプソン演じるガールフレンドに宿った命に対する責任との両立を迫られる。そして巨漢のロシア人との対戦が近づくと、当然ながら師であるロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)が後ろ盾となる。大ヒット作品の続編によく謳われるように、「今回は私情を交えた戦い」だ。

『女王陛下のお気に入り』 (2019年11月23日より全米公開)



ギリシャ出身の鬼才、ヨルゴス・ランティモス監督(前作『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』)が時代物に挑戦した。18世紀初頭、イングランドのアン女王の宮廷を舞台とした本作は、バッドマナーを描いた意地悪なコメディ作品だ。もちろん、キャストも申し分ない。愛に飢えた、やや不安定で気まぐれな女王をオリビア・コールマン、女王を意のままに操る公爵夫人をレイチェル・ワイズ、そして王室付き召使いとして雇われた没落貴族の娘をエマ・ストーンが演じている。動物競争、銃を使った遊び、泥風呂、三角関係、さらには故スタンレー・キューブリック監督が喜びそうなほど退廃的なプロダクションデザインとともに繰り広げられる茶番狂言のパワープレーと急展開の腹黒い企みの数々が堪能できる作品だ。

『蜘蛛の巣を払う女』 (2018年11月9日より全米公開、日本では2019年公開)



デビッド・フィンチャー監督がルーニー・マーラを起用してスウェーデンのベストセラーシリーズを映画化してから7年。ハリウッドに新たな旋風が巻き起ころうとしている。今回、反社会的な天才ハッカー、リスベット・サランデルを演じるのはクレア・フォイだ。ゴシック版ジェームズ・ボンドとも言えるサイバー空間の陰謀説に関わるスパイ作戦に立ち向かうなか、黒幕に政府の最有力者の存在を発見するサランデルは、やがて自らの過去の亡霊との決戦へと導かれていく。すでにエミー賞主演女優賞を受賞し、アカデミー賞へのノミネートも遠くないフォイの経歴に「アクションヒロイン」が加わるのは嬉しい限りだ。

Translated by Shoko Natori

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