米オレゴン州知事選の結果を左右する、ナイキ創業者の巨額献金

億万長者としても知られるナイキ創業者のフィル・ナイト。(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

ナイキ創業者で億万長者のフィル・ナイトは、米オレゴン州知事候補のクヌート・ビューラー議員へ、250万ドル(約2億8000万円)の選挙資金を直接提供した。ナイトはまた、共和党知事連盟へも100万ドル(約1億1000万円)を寄付しているが、そのほとんどはビューラー陣営に渡っている。

ドナルド・トランプ率いる共和党の議員を支援するナイトの姿勢は、アメリカンフットボールのコリン・キャパニック選手を新たな「Just Do It」キャンペーンの顔として採用したナイキの方針にそぐわない。

トランプはキャパニックを「ろくでなし」と非難し、警官による暴行に抗議して国歌演奏中に膝をつくポーズを取った他のアスリートたちも中傷した。ナイキのトップスターのひとりであるNBAのキング、レブロン・ジェームズもまた、大統領を「役立たず」と攻撃するなど、ツイッター上でトランプとやりあっている。

300億ドル(約3兆3500億円)の資産を持つ80歳のナイトは、2016年にナイキの会長職を退いたものの、“名誉会長”としてこのフットウェアとアパレルの巨大企業に留まり、さらにナイトの家族が2つの役員の椅子を占めている。ナイトは自分の財布からの寄付でビューラーを支援している。

しかし資金の流れをたどると、やはりナイキへ行き着く。オレゴン州の記録によると、ナイトはオレゴン州ビーバートンにあるナイキのグローバル本社を自分の住所として登録し、雇用主は「ナイキ」で、職業は「会長」になっている。
「ナイト氏は彼自身の献金についてコメントしません」と、ナイキの広報担当者であるグレッグ・ロシターはローリングストーン誌に語った。

創業者とはやや対照的に、ナイキ本体は8万5000ドル(約950万円)という控えめな金額を、民主党所属のケイト・ブラウン現オレゴン州知事へ献金している。バイセクシャルのケイト・ブラウンは、米国初のカミングアウトしたLGBTQ知事で、ナイキの社会的不公正や人種差別に対抗する企業姿勢は、彼女の主張と一致している。同社の広報担当ロシターは、ナイキによるブラウン知事への献金の事実を認めた以外は、州知事選挙におけるナイトやナイキの利害関係に関する質問には答えようとしない。

Translated by Smokva Tokyo

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