ロッド・スチュワートが語る、父として夫としてミュージシャンとしての時間

人生で一度も料理をしていないこと、引退ツアーを考えたことすらないことまで暴露したロッド・スチュワート(Illustration by Mark Summers )

ローリングストーン誌のシリーズ連載「最後の言葉」。今回は、ロッド・スチュワートが大酒飲み時代のこと、最高のロマンスの秘訣など、赤裸々に語ってくれた。

あと数ヶ月で74歳の声を聞くロッド・スチュワートだが、最近の彼は24歳の頃と変わらない勢力で活動を続けている。この夏、彼はシンディ・ローパーと一緒にアメリカツアーを行った。そして、現在は新作『Blood Red Roses(原題)』をサポートするツアーを展開中。このツアーが終わると、数週間後には米ネバダ州ラスベガスに戻り、かねてより継続中のシーザーズ・パレスのレジデンス・アーティストとしてステージを行う。そんな多忙な中、彼は妻ペニー・ランカスターと共に2人の息子を育て、グラスゴーのセルティック・フットボール・クラブに熱中する時間を見つけ出している。セルティックFCへの愛情は、死んだら自分の遺灰を彼らのホームグラウンドに撒いてほしいと言うほどだ。今回、ロッドに愛、喪失、ジェフ・ベックとの複雑な関係、子育て、恋に落ちてしまった『ブレイキング・バッド』について聞いてみた。

―新しいアルバムであなたは卵さえ茹でることができないと言っています。それは本当なのですか?

100%本当だ。嘘じゃない、真実だよ。70年代というのは今と違う。あの頃はガールフレンドと一緒に住んでいたものさ。しばらくするとお互いに飽きて、彼女たちが家から出ていくか、場合によっちゃ追い出すこともあったな。最低だよ。でも、追い出してから気付くのさ、「あれ、俺の夕飯は誰が作るんだ? 俺の朝食は?」って。結局、近所のカフェに行って食べるしかない。今でも料理に関しちゃ完全にお手上げだ。料理できないから自分の命を救うこともできない。最後に卵を茹でようとしたとき、キッチンに鍋やら食器やらを20個も出していた。しっちゃかめっちゃかだった。自慢げに言うことじゃないよな。

―これまで生きてきて一度でも料理したことはありますか?

一度もない。午後にトーストを焼いて、紅茶をいれたことはあるけど、それ以外はまるっきりやったことがない。恥ずかしいよな。スチュワート、恥を知れ!だ。

―もしその歌声がなかったらどんな人生になっていたかと考えたことはありますか?

それは百万ドルの質問だ。どうだろうな。始めたとき、これが唯一やりたいことだった。俺にできたことは2つで、一つがサッカー。ここ(英国)ではフットボールって言うけどな。そしてもう一つが歌うこと。プロのサッカー選手になるチャンスもあったよ。でも自分が上手いとは思っていなかった。サッカーをしたのは、俺の親父が息子の一人をサッカー選手にしたかったから。俺は末っ子だったから、とりあえずやってみた。でも上手くはなかった。そんなときに音楽に夢中になってしまったのさ。だから、歌っていなかったら何をしていたか、俺にも分からない。いや、ほんと、それって考えるだけで恐ろしいよ。

Translated by Miki Nakayama

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