オバマ、クリントン両氏を狙った爆発物押収の舞台裏

東海岸時間の水曜午前10時ごろ、CNNニューヨーク支局の本拠地であるタイム・ワーナー・センターでは、導線とパイプを同封した封筒が建物内の郵便室で発見され、入居者はただちに避難した。小包は、CNNに度々ゲスト出演し、大統領が日頃非難の矛先を向けている元CIA長官のジョン・ブレナー氏に宛てられたものだった。ニューヨーク警察の爆弾処理班は、隔離トラックの中で爆弾を処理した。

このような混乱に紛れて、誤報も飛び交った。CNNは、ホワイトハウス宛ての爆弾装置がワシントンDCにあるアメリカ海軍施設ジョイント・ベース・アナコスティア=ボリングで押収されたと第一報を報じたが、その後ロイター通信が関係者からの情報として、そのような爆弾は見つからなかったと報道。ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事は自分の事務所にも小包が届いたと発表したが、ニューヨーク警察は「問題の小包に同封されていたのは書類だった」ことを明らかにした(どうやら、極右団体Proud Boysに関する内容だった模様)。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、オバマ宅とクリントン宅宛ての爆破装置はソロス氏の自宅で発見されたものと似通っており、FBIはこれらの関連性を捜査している。同紙によれば、ソロス氏に宛てられた爆破装置は長さ6インチのパイプ爆弾で、中に火薬が詰め込まれていた。爆弾はFBI捜査官立ち合いのもの、ウェストチェスター群警察によって「未然に」解除された。FBIのニューヨーク支局は水曜日午前に声明を発表。すでに共同テロ対策チームを結成し、今後はクリントン邸宛ての問題の小包の捜査に当たるということだ。

同じく声明の中で、FBIは他の小包(どれも緩衝材入りのマニラ紙の郵便封筒に、印字した宛名ラベルと定額切手が貼られていた)は、バージニア州クアンティコのFBIのラボで分析すると述べた。

「FBIでは今回の捜査に最優先で当たります。局内の人員を総動員し、共同テロ対策チームのメンバーと協力して、これら小包を送った犯人の特定と逮捕に努めます」と、クリストファー・レイFBI長官は声明を発表した。「情報をおもちの方はFBIまでご連絡をお願いいたします。どんな些細な情報も、我々の捜査に役立ちます」

小包の差出人はどれも、ワッサーマン・シュルツ議員のフロリダの事務所と記されていた。「私の名前が使われたことに、動揺を隠しきれません」とワッサーマン・シュルツ議員は声明を発表した。「今日は、スタッフや愛する人々と抱き合って無事を喜び、明日からは再び仕事に戻って、私を選んでくれた有権者の人々のために奉仕します」

水曜日のトランプ大統領はおとなしかった。その間、大統領がかつて非難した個人や企業に宛てた爆弾が、次々見つかっていった。大統領がついに口を開いたのは水曜午後、ホワイトハウスで予定されていたイベントの席だった。「このようなときこそ、我々は団結しなくてはなりません。『いかなる類の政治攻撃や脅迫もアメリカ合衆国では認めない』という、明白で、強い、かつ紛れのないメッセージを皆で発信するのです」

民主党を率いるナンシー・ペロシ議員(カリフォルニア州代表)とチャック・シュマー議員(ニューヨーク州代表)は共同声明を発表。大統領の過去の扇動的な発言を非難した。

「暴力行為を看過するようなこれまでの発言を撤回しない限り、トランプ大統領の言葉は上辺だけのようにしか聞こえません」と両氏。「大統領は何度となく身体的暴力を容認し、自らの言動でアメリカを分断してきました。報道記者に体当たりを食わせた議員や、シャーロッツヴィルで若い女性を殺害したネオナチを擁護し、自分の支持者たちがデモ抗議者に暴力をふるったり、海外の独裁者が自国民を見殺しにするのを支持し、自由な報道を国民の敵呼ばわりしたのです」

Translated by Akiko Kato

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