ホラーの巨匠、ジョン・カーペンター監督が親子三世代で熱中していること

ある日、カーペンターはキャストとクルーに挨拶するために、サウスキャロライナ州チャールストンのセットを訪ねた。そこで見たグリーンの演出手腕に感激したと言う。「こう思ったよ、『ああ、この男はじっくり構えて作っている。自分の間合いで良い作品を作っている』とね」とカーペンター。

また、セットでかつてのキャストと再会したのもうれしかったらしい。「そう、ジェイミー・リー・カーティスとの再会は最高だった。彼女とはずっと連絡を取り合っているけど、セットで会って、もう一度一緒に仕事するのは格別だよ。それに、セットには(オリジナル版でマイケル・マイヤーズを演じた)ニック・キャッスルもいて、また一緒に仕事ができた。素晴らしい再会だったね」

「ジェイミーは本当に楽しい人だよ。彼女に取材したことがあるかい?」と、カーペンターが質問する。そして、「彼女は今、素晴らしい人生を送っていて、この作品が大好きで仕方ないらしい。良い役だったこともあって、かなり満足しているようだよ」とこちらに教えてくれる。

数日後、カーティスがカーペンターの取材の様子を想像して笑顔を見せる。「彼と話すのは難しいのよ。だって、彼は必ず核心をはぐらかすから」とカーティス。そして彼がセットを訪れたときに撮影した写真を提供してくれた。「あれはメディアが入る初日で、ジョンが並木道を歩いていたの。それにあの日初めてニックに会ったのよ。あそこに彼が来てくれて本当に素敵だった」とカーティスがそのときの様子を語る。

近年、カーペンターは自分の現在の活動状況に満足しているとのことだ。彼が最も力を入れているのが音楽。「音楽を作ることになったら、私は昼ぐらいから作曲を始める。そうじゃないときは、ビデオゲームをしたり、ニュースを見たり、バスケットボールの試合を見たり、もう少しビデオゲームをしたり、ちょっと音楽を作ったりという生活だ」と(最近、彼がプレイしているゲームはシャドウ オブ ザ トゥームレイダーや古いFalloutで、今Fallout 76がリリースされるのを心待ちにしている)。



彼は今でもホラー映画やSF映画をフォローし続けているが、今年の最恐ホラー映画と言われる『へレディタリー/継承』やTV番組『ストレンジャー・シングス 未知の世界』はまだ見ていないと言う。これらの作品はカーペンターに負うところが大きいはずだ(「彼はあとでチェックすると思うよ」と言った直後に「やっぱり見ないな」と、にべもなく否定する)。カーペンターが驚いた最近の映画は、2008年のスウェーデンの吸血鬼映画『ぼくのエリ 200歳の少女』と言う。「『この映画は吸血鬼ミステリーを書き換える作品だ』と思ったね」と彼。「あれほど既存のイメージを一新させる映画はしばらくぶりだったよ」

彼がメガポンを取った最後の作品は2010年の『ザ・ウォード/監禁病棟』だ。次の作品の予定についての質問への答えは歯切れが悪い。「作るかもしれない」とカーペンター。「でも、どうかな。現時点で教えられることは何もない」と。つまり、彼はまだ引退しないということか聞いてみた。「するかもしれないし、しないかもしれない、わからないよ」と言って「今やっていることが楽しいし、気軽に構えているんだ」と続ける。この先の予定は短いツアーとニューヨークのパラディアムで行うライブだけだ。「そのあとは自分でもわからない。願わくばリラックスしてNBAシーズンを楽しみたいね」と。

カーペンターは2018年の『Halloween』への参加、つまり映画のプロデュース、音楽制作、脚本の通読が、現在の彼が一番やりたかったことだと言う。「これだけは言っておくよ。私はこの仕事を始めたときからこれを待っていたんだよ」



Translated by Miki Nakayama

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