ホラーの巨匠、ジョン・カーペンター監督が親子三世代で熱中していること

詳細を聞き出そうと彼に食い下がってみたが、彼の回答はにべもない。どうやって作ったのかと聞くと、「みんなで一緒に作った。息子に指示して、彼がキーボード・パートを演奏して、それに音を重ねていっただけ」という具合だ。

オープニングのオスティナートを思い付いたのがコーディか聞いてみると、「オスティナートなんて、ローリングストーン誌らしい言葉だな」と答える。オスティナートとは音楽用語で「一定の音型を繰り返して演奏する」ことだ。「その用語の意味自体はわからないが素敵な響きだ」と言い、声を抑えて呟く。「オスティナート、うん、いいね、すごくいい」



そこで、コラボレーターたちが持ち寄ったアイデアがどんなものか聞いてみた。カーペンターは型通りの答えを繰り出す。「息子と孫だよ。これ以上のコラボレーションはない。とても楽しいね」と。しかし、諦めずにもう少し押してみると、彼は「コーディはキーボードの天才プレイヤーで、ダニエルはロックンロールのフィールを持っているが、3世代のパーティに様々な楽器とシンセを持ってきた」と説明する。そして「ギターは弓で弾いたから、少し違って聞こえるはずだ」と加える。

部分的にはカーペンターがオリジナル音楽を作った頃に思い描いていた曲よりも洗練されたものになっている。「音色的にはあらゆる点で私が思い描く限界を超えている」と言い、「あの当時にもこのようなテクノロジーがあったら良かったのにと思うが、低予算の映画製作者ってのは時間と予算をかけずに作るしかないから」と続ける。

とにかく、グリーンへ協力したかったのが一番だとカーペンターは強調する。「デヴィッド・ゴードン・グリーンが喜ぶことをしただけだ」と事もなげに述べて、「それが私の仕事だったし、楽しかったよ」と続ける。カーペンターと彼のコラボレーターたちはグリーンとミーティングを重ねて、グリーンが求める感情を聞き出してメモを取った。「彼は『これを少し明るくできるかい?』とか『これ、もう少し暗くできる? ここで観客に恐怖を感じさせたいから』というふうに伝えてくれた。本当に最高のコラボレーションだったよ」とカーペンター。

グリーン、ダニー・マクブライド、ジェフ・フラッドリーが書いた脚本にカーペンターが助言したとはいえ、映画音楽の作曲家として自己主張する気など一切なく、ストーリーを優先したらしい。「あり得ない、絶対にないよ。これは彼の映画なんだから。私はその点を尊重している。監督としての彼を尊敬している。監督は王様なんだからね」と。しかし、その後で、彼らに意見を述べたと言い、「彼らが採用したものもあるが、ほとんど採用しなかった」と渋々認めるに至る。「ほとんど?」と聞き返すと、「いや、冗談だよ。ローリングストーン誌はもう少しユーモアセンスを磨いたほうがいいなぁ」と、ひょうひょうと切り返す。

Translated by Miki Nakayama

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