ジューダス・プリーストの元ギタリストが語るヘヴィメタル黎明期

著書『Heavy Duty: Days and Nights in Judas Priest』を刊行したK.K.ダウニング(Photo by Paul Natkin/Getty Images)



ーあなたはかつて、彼がゲイだという事実はメタル界における致命的な秘密だと発言しました。彼が1998年にカミングアウトした際に、世間があれほど敏感に反応したのはなぜだったと思いますか?

分からないな。あのときは電話が鳴り止まなくて大変だったよ。ロブは昔から何ひとつ隠そうとしなかったから、彼がカミングアウトしたときは「そんなのとっくに知ってるよ」っていうリアクションが返ってくるものだと思い込んでたんだ(笑)。少なくとも俺たちにとっては、どうってことなかったよ。

ーカミングアウトを勧めたり、ゲイであることを誇るべきだと伝えたことはありましたか?

ないね。考えたこともなかった。当時のイングランドでは、若者たちの間に多様性を歓迎するムードが流れてたから、それほど深刻になる必要がなかったんだよ。でもアメリカの状況は違った。ツアーで南部を回ってたある日、ドライブインで運転手は俺たちをバス内に閉じ込めた。「君らには悪いが、出てこないほうが身のためだ」なんて言われたよ。腹が立ったけど、あれは彼なりの思いやりだったんだ。あんな恰好をしてたせいで、身の危険を感じることは多かったよ(笑)

ーあなたは著書で、バンドがヘヴィメタルであることに誰よりもこだわったと綴っています。あなたが『ターボ』でシンセギターの正当性を主張していたことを考えれば、少し不思議な気もしました。

シンセギターは当時目新しかったからな。それがヘヴィメタルかどうかなんてことは、他人が決めることじゃない。あの楽器をユニークなやり方で使った俺たちにとって、あれは紛れもなくヘヴィメタルだった。ジューダス・プリーストは決してリスクを恐れなかった。ロックやメタルのファンは変化をよしとしないから、俺たちが変わり続けることをよしとしないやつも多かった。でもジミ・ヘンドリックスを見ろよ、いくつもの引き出しを持ってただろ?

ーバンドのもう一人のギタリスト、グレン・ティプトンとあなたの関係が微妙だったことは広く知られています。2人で膝を交えて語り合ったことなどはありましたか?

(しばらくの間沈黙)ライブ前と最中に飲みすぎるなとは注意したよ。何も解決しなかったけどな。やつのせいでショーが台無しになっちまうんじゃないかって、いつも心配してた。俺自身酒は好きだけど、ライブ前は控えてたよ。実際にやつが足を引っ張ったこともあった。



ーあなたの自伝によると、ローディが彼のビールをこっそりと水で薄めていたそうですね。

そうなんだ(笑)。俺は毎晩ステージ立つ前に、「今夜は大丈夫かな?」って気を揉んでた。マジでストレスだったよ。当時のヴォーカリストだったリッパー(・オーウェンズ)なんか、俺のステージ衣装に「何とかしてくれ」なんて書いた付箋を貼ってたからな。「俺はギタリストだ、やつの子守役じゃない」って言い返してやったよ。どれだけの人が気づいてたか分からないけど、俺はそういう環境でプレイすることを楽しめなくなり始めてた。嫌気がさしたんだよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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