ジューダス・プリーストの元ギタリストが語るヘヴィメタル黎明期

著書『Heavy Duty: Days and Nights in Judas Priest』を刊行したK.K.ダウニング(Photo by Paul Natkin/Getty Images)



ーあなたは幼少期に家庭内暴力の犠牲者となりました。そのことは後の人生にどういった影響を及ぼしたと思いますか?

俺は幸運なほうだよ。15歳のときに家を出たからね。少しでも気を許せば身を滅ぼす、幼い頃からそんなふうに考えてた。状況は悪化する一方で、とにかくそこから逃れないといけなかった。同じような境遇にいる人間にアドバイスするとすれば、状況が改善するのを待つんじゃなく、まともな環境を求めて自らを行動を起こすことだ。不幸なことに、俺の姉妹はそれができなかった。家に残った2人は、そういう蝕まれた環境の被害者になってしまったんだ。

ーあなたが心の平穏を手にしたのはいつでしたか?

家を出てあのバスに乗った次の日さ。獄中生活のような日々から解放され、俺は初めて自由というものを知った。魂が解き放たれるのを感じたんだ。

ー自伝ではジミ・ヘンドリックスからの影響について明言していますが、ブラック・サバスやレッド・ツェッペリンへの言及はほとんど見られません。ヘヴィメタルのパイオニア、ジューダス・プリーストのインスピレーションはどこから来ているのでしょうか?

1966年、67年、そして68年に観たヘンドリックスは、果てしなく自由だった。何にも縛られず、魂の叫びを響かせていた。でもそれ以降はビジネスやら何やらでがんじがらめになってしまって、かつての輝きを失ってしまった。エリック・クラプトンやピート・タウンゼントも同じことを言うだろうけど、イギリスに来たばかりの頃のヘンドリックスは、文字通り完全無欠の存在だった。熱狂したファンはバルコニーから飛び降り、ステージに駆け寄った。俺もそのひとりさ。全身からオーラを発していた彼は、まさに歩くカリスマだった。

レッド・ツェッペリンやブラック・サバスについては、俺は特にファンというわけじゃなかった。いろんな音楽を聴いてはいたけど、ヘンドリックス以上の存在はいなかった。ヘヴィメタルの何たるかを、俺は彼から学んだんだ。サバスもいいけど、ヘンドリックスは完全に別格だ。ギグの冒頭の「フォクシー・レディ」から「紫のけむり」の流れは圧巻で、痺れるようなリフから優れたソングライティング、そして唯一無二のギタープレイまで、何かもかもがとにかくユニークで、ずっと俺の脳裏に焼き付いてる。俺自身こうしてミュージシャンになったわけだけど、彼の真似をしようとしたことは一度もないんだ。無理だってわかってたからね。それでも彼のスタイルが、プリーストの音楽に大きく影響していることは間違いないよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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