今市隆二インタビュー「R&Bの本質と共鳴するエモーション」

2018年8月からスタートしたソロツアー「RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2018 “LIGHT>DARKNESS”」は12月まで続く。(Photo by Tsutomu Ono, Styling by Eiji Takahashi, Hair by Go Utsugi (PARKS), Make-up = Michiko Funabiki)



・自分ならではの表現をさらに磨いていきたい

ーほかの楽曲についても教えてください。「R.Y.U.S.E.I.」を手がけたトラックメイカーのSTY氏による1stシングル曲「ONE DAY」は、アーバンかつコンテンポラリーな仕上がりの王道的なR&Bで、今市さんのソロ活動の指針となる楽曲だと感じました。

今市:実は、ソロプロジェクトを始動する段階でいくつか楽曲のストックはあって、第一弾をどの楽曲にするかは相当悩んだんです。The Weekendの楽曲のプロデュースを手がけているイランジェロに制作していただいた4thシングル曲「Alter Ego」も、ソロのスタートを切る楽曲としてはかなりインパクトがあると思ったし、この楽曲ならきっと耳の肥えたR&Bリスナーにも受けるだろうなと。

ーでも、「ONE DAY」を選んだ。

今市:はい。幅広いリスナーを想定したときにもっとも耳馴染みが良く、かつ王道のR&B路線を打ち出すには、「ONE DAY」がベストだと考えました。STYさんのトラックは、ビートや質感は現行のR&Bそのもので非常に洗練されているのですが、トップラインにはちゃんとJ-Popらしいキャッチーさがあるので、三代目の楽曲に馴染んだリスナーの方にも受け入れてもらいやすいと考えたんです。結果として、その選択は間違っていなかったと思います。

ー「Alter Ego」のほうは、まさに“和製The Weekend”という感じのアンビエントR&Bでした。ヴォーカルの処理も含めて、J-Popでは珍しい、尖った楽曲に仕上がっています。

今市:Illangeloに楽曲提供していただけると決まった時点で、最新のアンビエントR&Bに挑戦するしかないと考えていました。ロスのスタジオを訪れて、LDHのコンセプトやソロとしての方向性を話し合いながら制作した楽曲です。「ONE DAY」がキャッチーさを重視した楽曲だとすると、「Alter Ego」はエッジィさを打ち出した楽曲で、そのギャップが奥行きになれば、と考えていました。

ー歌詞もほかの楽曲とは一味違っていて、内省的な表現が目立ちます。

今市:“Alter Ego=別人格”とのタイトル通り、これまで歌ってこなかった自分の内面的な葛藤を表現しました。誰しも心の中には、弱いところを持った別の自分がいると思うのですが、それを認めたほうがより強くなれるというメッセージを込めています。声のエフェクト処理も全てイランジェロに依頼していて、奥行きのあるサウンドになっています。トラックがめちゃくちゃかっこよくて、自分でもすごく気に入っている楽曲です。

ー日本のR&B界の名匠であるT.Kura氏、LL BROTHERSのTAKANORI氏と共作した2ndシングル曲「Angel」は、ほかのソロ曲と異なり、ディスコ調のファンキーな仕上がりでした。こちらはどんなふうに制作を?

今市:「Angel」は、実は4年くらい前から着手していた楽曲です。当時はJ-WAVEで『SPARK』というラジオ番組を始めたタイミングで、幅広いジャンルの音楽に触れるようになったので、僕もこれまでとは異なるジャンルに挑戦したいと考えて、ファンクをやってみようと。ブルーノ・マーズやRケリーもファンキーな楽曲をリリースしていたし、せっかくT.KuraさんやTAKANORIさんと共同で制作ができるのだから、新しいことをしてみたかったんですよね。僕にとって、初めて作詞作曲に挑戦したのもこの楽曲でした。

ーかなりじっくり作り上げたんですね。

今市:単にみんなで音楽を作ってみようというところからスタートしていて、シングルにする予定もなかったし、納期が決まっている楽曲ではなかったから、3人で時々スタジオに入って、YouTubeを観て「この時代の音楽はこうだよね」とか音楽話をしながら、合宿的な雰囲気で作らせていただきました。仕上がりまで時間はかかっていますが、決して難産だったわけではなく、ファンクの歌い回しやグルーヴについていろいろと学びながら作っていった思い出の曲ですね。“To the right,to the right To the left.to the left to the left”の箇所など、ファンクっぽい歌い回しにチャレンジしているので、そういうところを楽しんでいただければ。


Photo by Tsutomu Ono

ーソロ楽曲にバリエーションを付けるのに一役買っている楽曲だと思います。一方、Ne-Yoと共同制作した新曲「SHINING」は、“Ne-Yo節”に溢れた、軽やかながら洗練された楽曲です。


今市:Ne-Yoの楽曲では、やはり「Because Of You」や「so sick」などの代表曲がすごく好きで、メロディも極上だと感じていました。ほかのソロ楽曲が割とメロウでゆったりとしたものだったので、「SHINING」はNe-Yoらしいアップテンポの楽曲にしてほしいと伝えました。テーマとしては、太陽のようにキラキラ輝く女性の魅力を讃えるものになっています。デモをいろいろと聴かせてもらって、そこから選んだ楽曲にNe-Yoがトップラインを付けてくれました。

ー制作の中で、何か気付いたことはありましたか?

今市:意外だったのは、Ne-Yoのメロディの作り方です。Ne-Yoは一つのフレーズを、何度も推敲を重ねた上で作っていました。なんとなく、スラスラと書いているイメージがあったんですけれど、そうではなく、たっぷりと時間をかけて、考えに考え抜かれたメロディだったんです。「違う、これじゃない」って、ストイックに作り込んでいました。ブライアンがその場で直感的に作っていくのと対称的で、同じR&Bでもアーティストによってまったく方法論が異なることにあらためて感銘を受けましたNe-Yoとの曲作りも、ひとつ夢が叶った瞬間でしたね。

ー今回、一流のミュージシャンやプロデューサーと共同制作して学んだことを、あらためて教えてください。

今市:本当に素晴らしい体験で、今回のソロプロジェクトで、一流のミュージシャンたちとともに幅広い楽曲に挑戦した日々は、僕にとって大きな財産になりました。自由に楽しんで歌うこと、自分らしいスタイルを築くこと、どれも言葉にすると当たり前のように感じるかもしれませんが、貴重な日々を通じて、その本当の意味が分かったような気がします。彼らのように、自分ならではの表現をさらに磨いていきたいと、強く思いました。

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