今市隆二インタビュー「R&Bの本質と共鳴するエモーション」

2018年8月からスタートしたソロツアー「RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2018 “LIGHT>DARKNESS”」は12月まで続く。(Photo by Tsutomu Ono, Styling by Eiji Takahashi, Hair by Go Utsugi (PARKS), Make-up = Michiko Funabiki)

「この曲の歌詞を聞いてみれば、隆二が経験したことが分かる。隆二は今まで関わってくれた全ての人に感謝を伝えたかったんだと思います」。三代目 J Soul Brothersの長編ドキュメンタリー『SEVEN/7』の中で、ブライアン・マックナイトが楽曲「Thank you」について語った言葉だ。

R&Bシンガーとして新たな道を歩み始めた今市隆二の作品には、ブライアン・マックナイトを始め、STY、T.Kura、LL BROTHERSのTAKANORI、イランジェロ、そしてNe-Yoと、そうそうたる国内外のR&Bアーティスト/トラックメイカーが参加した。仕上がった『FUTURE』のソロディスクは、最新のR&Bのモードをまとったバラエティ豊かな楽曲が収録されながらも、今市隆二のパーソナリティーがにじみ出た温かみのある作品となった。

今市隆二のアーティスト性は、ブライアンが指摘するように、その人柄と分かち難く結びついており、だからこそ多くのトップクリエイターが、彼のソロ活動に喜んで力を貸すのだろう。今市隆二が、彼らとの共同制作の中で気付いたこと、目指すアーティスト像、そして8月から始まった初のソロツアーへの意気込みまで、たっぷりと語ってもらった。

※この記事は6月25日発売の『Rolling Stone JAPAN vol.03』に掲載されたものです。

・R&Bは僕にとっての音楽のルーツ

ー『FUTURE』収録の長編ドキュメンタリー『SEVEN/7』では、三代目J Soul Brothersとしての活動を一度やりきったからこそ、メンバーそれぞれが壁にぶつかり、それを乗り越えようと葛藤している様子が見て取れました。今市さんが当時、音楽的な意味で抱えていた課題はどのようなものだったのか、あらためて教えてください。

今市:『SEVEN/7』の撮影期間は、それぞれがソロ活動に注力していた時期で、既に方向性がある程度は定まっていたメンバーもいましたし、これからやるべきことを探していたメンバーもいたと思いますが、おっしゃるように、確信を抱いて活動している段階ではなく、その意味で壁にぶつかっていました。僕の場合、将来的に70〜80歳になってもヴォーカリストとして歌い続けたいとのヴィジョンは既にあったものの、そのために今、何をするべきかはまだはっきりとしていませんでした。

ーソロとして活動すること自体は、以前から決めていたのでしょうか?

今市:『PLANET SEVEN』(14年)で初めてソロとしてバラード曲「All LOVE」に挑戦して、『THE JSB LEGACY』(16年)でも「Over & Over」という曲を歌わせていただき、次はソロシンガーとしても実力を付けていきたいとは考えていました。ただ、それを成立させるためには、ソロで歌うことへの明確な意味付けが必要で、いざソロプロジェクトが始まる段階になったときは、いかにして三代目のときとは異なるヴォーカリスト像を作りあげるか、ずいぶんと悩みました。

ー悩んだ結果として、本格的なR&B路線に進むことになったのですね。

今市:自分ひとりでリスナーの視聴に耐えうる豊かな表現をしようと考えたとき、やはり僕はヴォーカリストなので、歌の力で魅了するR&B路線に進むのがベストだと判断しました。R&Bは僕にとっての音楽のルーツでもあるし、いつかは真正面から向き合ってみたいと思っていたジャンルでもあります。それに、三代目のヴォーカリストでありながら、かつ洋楽志向の強い三代目の音楽性と差別化をはかるには、現行の海外のR&Bのモードに挑戦するのがもっとも理にかなっている。では、どのように海外R&Bのエッセンスを落とし込んでいこうかと、スタッフの方々含めて相談したところ、ブライアン・マックナイトのもとでホームステイをさせていただけるという話になって。さらに、ニューヨーク拠点に活動しているダニエル・アーシャムというアートディレクターとコラボレーションできることになったり、Ne-Yoとも楽曲制作ができることになったりと、夢のような話が広がっていきました。

ーシンガー冥利に尽きますね。

今市 こういう話をいただけるようになったのも、三代目としての活動があったからで、そこは本当に感謝しかありません。ただ、海外の巨匠たちにただアートワークや楽曲を作ってもらうだけでは、目指すアーティスト像にはたどり着けませんし、ファンの方々もそれは望んでいないと思いました。だから、彼らとの共作の中で、いかに自分から発信をしていくか、今市隆二としての色を出していくかは、すごく考慮しました。

ーブライアン・マックナイトはR&Bの歴史においても屈指の美メロの達人で、90年代には代表的なR&Bシンガーのひとりと言っても良いほどの大きな存在になりました。今市さん自身も、大きな影響を受けたとのことで、フェイバリット・アーティストの一人に挙げています。今市さんは、ブライアン・マックナイトの音楽のどんなところに魅力を感じていましたか。

今市:ブライアン・マックナイトは、僕にとって洋楽への入り口となったアーティストで、YouTubeで韓国ライブの映像を観たのをきっかけにハマりました。「One Last Cry」を歌っている映像で、向こうのアーティストのゲストで出ていたのだと思います。楽曲自体にももちろん惹かれましたが、何よりもその歌唱の圧倒的な技術の高さに衝撃を受けました。18〜19歳の頃ですね。

ーまずはシンガーとして、そのスキルに興味を抱いたと。

今市:そこから掘り下げて、過去の音源や、ラスベガスのショウで歌っているDVDなども鑑賞しました。世界で一番、歌が巧いのではないかと思うほどの歌唱力で、アドリブ、フェイク、ロングトーン、どれを取ってもとても真似できないと感じました。本当に「なんだこれは!」と声に出すほど驚いたものです(笑)。初めてビルボードライブ東京でブライアンのライブを観たときの感動も忘れられません。3階席から、アカペラで歌いながら降りてくるんですよ。すっかり虜になってしまい、それから毎年のライブに欠かさず行くようになって、合計で10回以上、観てきました。

ー本当に大ファンなんですね。

今市:そうですね。それに、彼はマルチプレイヤーでもあって、9つの楽器を演奏できますし、音楽プロデューサーとしてもジャスティン・ティンバーレイクの作品に携わったりと、非常に多才です。本当に、ミュージシャンとして憧れの存在でした。

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