大麻合法化スタートのカナダ、公共の場での一服も可能?

カナダ現地時間で17日をまわり、マリファナ(大麻)合法化を祝う人々。トロントにて。(Photo by Ian Willms/Getty Images)

カナダ現地時間17日、カナダは世界で2番目に、全国規模でマリファナ(大麻)が合法化される国となる。

6月に議会承認されたC-45法案がいよいよ施行されると、成人は30グラムのマリファナを所有できるほか、1世帯につき4本まで自宅栽培することも可能となる(地方自治体によって追加規制が設けられる)。

近々カナダへの旅行を計画しているアメリカ人は、必ずしもこれが完全自由化ではないことを肝に銘じておくべきだ。施行初日から営業するマリファナ小売店は、カナダ全国でも200店舗足らず。西海岸では手始めに、ブリティッシュコロンビア州カムループス市にオープンする州営の販売所1軒のみ。東海岸ではもう少し選択肢が増え、モントリオール市では水曜日に12の販売店がオープン、今月末までにさらに3軒がオープンを予定している。

年内にはケベック州全域の販売店は20店舗にのぼる予定だが、それら全てがケベック州政府の酒販専売制度の一環として、州営のケベック・マリファナ組合(SQDC)の独占経営によるものだ。ケベック州はマリファナ規制を各自治体に委ねているが、そのほかの州は利益拡大を図り、民間業者への許認可制度をとっている。

規制範囲は州や市によって、自治体レベルでも異なるため、いったいどこまでが合法で誰が対象なのか、既に混乱が生じている。連邦法はマリファナを合法的に購入できるのは18歳以上と定める一方、ブリティッシュコロンビア州のように19歳に引き上げている州もある。一方ケベック州では、間もなく誕生する保守派フランソワ・ルゴー氏率いる新政権が法定年齢を21歳に引き上げる計画を示唆している。自宅栽培に関しては、マニトバ州同様禁じられている。

現時点では、ケベック州ではタバコの喫煙が禁止されている場所を除き、公共の場での服用が法的に認められている。だが、各州がある一定の規制を設けているように、各市も独自の条例を定め、中には全市域で公共での服用を禁じているところもある。モントリオール市はこの例に該当しないものの、保守派野党が地元議会の過半数を占める5つの自治体は、条例により公共の場での服用を全面禁止としている。ブリティッシュコロンビア州とケベック州ではSQDCのサイト経由でのオンライン通販を認めているが、カナダ国内配送のみ。購入者は、求められた場合には、法定年齢に達していることを証明する身分証明書を提示していなくてはならない。

唯一、食用マリファナの販売と流通だけがいまだ合法化されていない。連邦法はマリファナを混合した食物の自宅調理は認めているものの、包装され商品化されたものに関してはいまだ論じられておらず、この先1年は施行される見込みはないだろう。いまのところ、乾燥マリファナとマリファナオイルのみが、認可を受けた販売店で購入することができる。

「食用マリファナの問題は非常に複雑です。カナダ国民の安全を確保するためにも、法規制の実現を目指してゆきたいと考えています」。国境安全および組織犯罪対策省のビル・ブレア大臣は、カナダのCTVニュースでこう語った。

アメリカ合衆国税関・国境警備局は既に、アメリカ国境でカナダ人がマリファナを所持していた場合、ビジネス目的で入国を図る麻薬組織のメンバー同様、永久入国禁止となる可能性があることを明言している。アメリカ国民がカナダに入国する際はこのような厳しい審査を受けることはないが、カナダから帰国する際は、たとえ合法的に購入したものでも、マリファナ所持は違法となる。

Translated by Akiko Kato

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