東出昌大が『龍-RON-』を演じてみた感想は? 『このマンガがすごい!』松江監督が聞く収録舞台裏

『このマンガがすごい!』第2回 ©「このマンガがすごい!」製作委員会

ドキュメンタリードラマ『このマンガがすごい!』第2回のOAでゲスト出演したのは東出昌大。自らが選んだ実写化したい漫画『龍-RON-』の出来上がりはドラマでたっぷりと楽しんでもらうとして、Rolling Stone Japanでは監督の松江哲明監督が東出にインタビューした記事を特別にお届けする。

原作は第41回小学館漫画賞青年一般部門を受賞した『龍-RON-』。昭和初期の京都を舞台に、ひたすら剣の道を極めんとする男・龍の破天荒な生き方を描いた物語。東出は剣の道を志す主人公・押小路龍役に挑戦した。

ー完成版のグリーンバックでの撮影は一人での演技になるじゃないですか。その点は役者としてどう考えましたか?

東出:例えば、現実世界という設定でのグリーンバックだったらナチュラルな芝居でも成立すると思うのですが、漫画、しかも劇画の世界で自分だけ生身で動くということを考えると、どうやってもコメディになってしまうとは思いました。漫画の実写化で演じる際は一言一言のワードを粒立たせるようにすると、蒼井さん(蒼井優)もおっしゃってましたが、ナチュラルに演じても漫画の力に負けてしまうと思ったので、ちょっとオーバーにしつつ「型」として成立させなきゃいけないのが難しかったです。

ー実際に演じてみた感想は?

東出:自分の気持ちの対象が目の前に存在して、それに向かってしゃべるのではなく、あらかじめ決まったコマ割りというものが存在して、そこに合わせて目線を作ってしゃべる。この感覚は映像や舞台とも違うなと思いました。それが楽しさでもあり、漫画的な世界でお芝居ができたという実感でもあるのかなと。

ー映画やドラマで漫画原作の作品に出られることもあると思いますが、漫画の実写化についてはどう考えていますか? 

東出:映画や漫画が好きな一人のファンの目線で見たときに、原作を超えるもの、ファンの想像を上回る実写化っていうのは大変難しいことだなと切に思います。漫画という二次元のものは、その表面から体温は感じないですよね。でも、皮膚の下に血管があって血が流れている人間が、同じセリフを発したとき、「人間が言ってるから意味があった」「人間が演じているから伝わった」と言っていただけるのが、実写化の唯一の強みなのかなと。生身の人間だから新しいものを見せることができる。僕はそこで勝負していきたいなと思います。

ー生身の人間っていう点で言うと、今回、役者のセリフと一緒に漫画のフキダシが出るじゃないですか。フキダシで見るセリフと、声で聞くセリフって違いますよね。

東出:脳内で自分好みに作品を補填する力って、すごいですよね。個々の想像力に委ねられるというか、キャラクターも声音もそれぞれ違いますけど、その想像力を超えていかないと実写化する意味がないなとも思います。

ー漫画をこういう形で映像化するっていうのはある種の実験だなと僕は思っていて。今回の場合だったら村上もとか先生がどういう気持ちで『龍-RON-』を一コマ一コマ描いたんだろうという検証をするような。東出さんにとって漫画の魅力ってどういうところにありますか?

東出:漫画の世界の奥深さってすごいなと思っています。個々の先生が強烈なこだわりをもって、緻密なところまで描いている。以前、まつげを一本描くか描かないかだけでも悩むという話を漫画家さんから聞いたことがあるんですが、『龍-RON-』の剣道のシーンでも面の中の顔の描き方、防具の細部の描き方、すべてに意味があって成立している。プロフェッショナルなお仕事だなと思います。

Interviewed by Tetsuaki Matsue


ドラマ25『このマンガがすごい!』
毎週金曜24:52~25:23
テレビ東京、テレビ大阪ほかで放送

監督:松江哲明

オープニングテーマ:アンジュルム「タデ食う虫も Like it!

エンディングテーマ:前野健太
出演:
蒼井優、ゲスト出演:新井浩文と山本浩司、神野三鈴、塚本晋也、でんでん、中川大志、東出昌大、平岩紙、森川葵、森山未來、山本美月(五十音順)

【番組公式HP】 http://www.tv-tokyo.co.jp/konomanga/
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【Instagram】 @tx_drama25 https://instagram.com/tx_drama25

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