FRONTIER BACKYARDが通算7枚目のアルバムを発表、TGMXの偏愛洋楽アーティスト7組

ー「TOO YOUNG TO STOP」や「Back to new life」を聴いて、ギターという楽器がなくてもバンドのアンサンブルってこんなにもカラフルに、なおかつ厚みを持たせることができるんだと思いました。

田上:もともと聴いていた音楽がギター中心のロックとかではなかったので、なけりゃないで大丈夫みたいなところはあるかもです。今後、ギターを入れる可能性はゼロではないけど、ギターがないことで新しい音楽が作れてるんじゃないかなって気もしてるし。普通だったらギターでジャーンで済むところをその「ジャーン」というのをどうやって出せばいいんだろうなとか、例えばシンバルを多く入れて表現するとか、シンセで表現するとか、そういうのを考えるのが今は楽しいですね。

ーあと「Broken clock’s moving」のリズムはレコーディング日誌にも書いてありましたけど、これまでになかったタイプのものですよね。

田上:忠章くんはヒップホップやトラップが好きなので、前作あたりからその要素を自分のドラムに置き換えられないかっていうのはよく言ってたんです。テンポを倍で取ってるようなノリとかをドラムで表現できないかって、なんとなくその感覚は自分も分かるので……。

ー自分はUKガラージとか、ツーステップっぽい雰囲気を感じました。

田上:昔からそういう話をよくしてるんですよ。トラップとか、それこそツーステップやダブステップが出てきたときとか、あとはジューク・フットワークもそう。特徴的なリズムが出てきたら、それをどうにかバンドに置き換えたいよねって。自分たちはバンドだから、やっぱりテンション高い曲をやりたいし、そのために新しいリズムを研究するのはすごくいいことだと思ってます。身体で自然と踊れるビートというか、特にライブだとそういうのが効いてくる気がする。

ー「Houseplant」はどうですか。日誌には某海外バンドのオマージュと書いてありましたが。

田上:これはフィッシュボーンですね(笑)。彼らの曲と同じようなリフをわざといっぱい入れて、楽しんでみた感じです。フィッシュボーンってバンドはアレンジのヒントがいっぱいあるんですよね。未だにそういう発見があって、いろんな音楽を聴いてきた今だから「これはこういうことだったんだ」って分かる。

ー今回はヴォーカリストのフィーチャリングも特徴ですよね。NONA REEVESの西寺郷太さんとフレンズのおかもとえみさんが参加してます。2人にお願いした理由は?

田上:さっきも言ったように2人でトラックを作ってるイメージなので、「この曲には女性のヴォーカルが合うよね」とか「この曲は俺の声じゃなくてもいいな」とか、そういう話がきっかけで出てきたアイデアだったと思います。誰かのヴォーカルがありつつ、僕も一緒に歌えるような曲にしたかった。FRONTIER BACKYARDは2人のバンドで、普段はサポートメンバーと一緒に活動してるから、あらためて「フィーチャリング」っていう形でやったことってあまりないんですよね。そういう意味でも新鮮でした。



ーまた機会があればやってみたいですか?

田上:そうですね。いろんな人と気軽にもっとやれたらいいなと思ってて。海外だとラッパー同士でサクっとコラボしたりとか、よくあるじゃないですか。ああいう感じで、もっと簡単にできるといいのになって。最近、やりたいことはどんどんやったほうがいいなと思ってるんです。前は一つひとつ活動の意味をちゃんと考えてやるべきだと思ってたんですけど、そういうのは後々振り返ったときに自然と気づくものだから、今はやりたいことをどんどんやろうと。やりたいことをとにかく素早くやるっていうのが、今の自分たちが大事にしてることかもしれないです。

ー『THE GARDEN』から1年も経たずに新作っていうスピード感も、まさにそういうことですよね。

田上:創作に関して、今はとても楽しいですね。ジジイになったらジジイになったで、こんな楽しく音楽ができるのかと思うと(笑)。

ーアルバム・タイトルの『Fantastic every single day』にはどういう意味が?

田上:表題曲の歌詞でそういうフレーズがあって、毎日大変なことばかりかもしれないけど、それでも楽しいって言っとくと本当に楽しくなるんじゃないかっていう、楽観的なメッセージですね。ハードな毎日よりはファンタスティックな毎日を送ろうよって。

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