Tempalay『なんて素晴らしき世界』にあふれるユニークな視点

「シンプルな表現のほうがかっこいいみたいなマインドにはなっています」(小原)

ー綾斗さんの書く歌詞は、冷めた視点やシニカルなものの見方に加えて、酩酊感、奇をてらうような天の邪鬼的なエッセンスにユーモアも含まれているように思います。それらが引き継がれつつも、今作では、感情を「素直さ」でもって表現しているような感覚もあったんです。物事を見たり、表現するうえで、綾斗さん自身の心理に変化はありましたか?

小原:言われてみれば、確かに感覚的には削ぎ落とされていってますね。シンプルな表現のほうがかっこいいみたいなマインドにはなっています。でもシンプルであればシンプルであるほどディテールを表現するのが難しいって気がついて。シンプルにしていきたい気持はあるけども、やっぱり不安になっちゃうんですよね。

ー削ぎ落としてく作業と膨らませたい気持が半々だったと。

小原:そうですね。「どうしよう」に関しては、楽曲の展開にしても、コード感にしても、言葉にしても、もしこれで難しいって言われても「もう限界っす」ってくらいシンプルにしたから。

Tempalay "どうしよう" (Official Music Video)



ーキャッチーな楽曲だと思いました。MVも爆笑してしまうような内容で。

小原:自分としても素敵な曲ができたなとは思ったんですけど、なんかどうもアルバムのイメージに対して痒い所に手が届かない感覚があって。だからほかの楽曲の色合いが結構おどろおどろしいものになったような気がします。「Last Dance」に関しては、レコーディング直前のスタジオで20分くらいだけ全員で合わせて、「覚えたっしょ? 明日までに各々アレンジしてきてくれ」って言ったんです。そのセッションでやっとアルバムの全貌が見えて、ギリギリで間に合いました。

ーだいぶ無茶ぶりですね。確かに、後半のハイライトになるような楽曲で、このジャジーな展開の曲があるとないとでは、アルバム全体の印象がだいぶ変わるように思いました。

小原:最後の最後にガツンと来るものを一発入れられて良かったです。まぁ、いろんな意味でギリギリの作品っす。

ー精神的にもスケジュール的にもギリギリまで追い込んだんですね。とはいえラストトラック「カンガルーも考えている」もフレーズが口ずさめるようなものになっていて。お風呂に入ってる時とか寝る前にふざけながら歌いたくなるような。だけどほんとのところの意味はまだ解せないっていう。

小原:この曲はみんなで酔っぱらいながらレコーディングしたんで。ブースじゃなくてPA卓のあるほうでこうやって(ソファに横になるポーズをしながら)マイク回しながら歌って(笑)。

AAAMYYY:いい感じの緩さだったよね。

ーじゃあ綾斗さん自身もメンバーに対してさらけ出せる部分がどんどん増えてきているし、お互いフィーリングとして分かる暗黙の了解的な部分も増えたりしていて。メンバーの関係性も気持ち良いものになっていっている感じはありますか?

小原:この体制になってまだ間もないので、これからだとは思いますけどね。まぁ、それぞれが事件を起こすバンドなのでこれからが楽しみではあります(笑)。

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