Tempalay『なんて素晴らしき世界』にあふれるユニークな視点

新体制初のアルバム『なんて素晴らしき世界』をリリースしたTempalay

9月26日に発売されたTempalayの新譜『なんて素晴らしき世界』。これまでのTempalayから通底する終末的世界観と自身の周辺の様子を俯瞰で描くセンスはそのままに、そこに内包されるシニカルなものの見方や天の邪鬼な人柄をも素直に提示してみせた傑作だ。

制作中にはメンバーが脱退したものの、これまでサポートとしてTempalayの音像に貢献してきたAAAMYYYを正式にメンバーとして迎え、このアルバムを完成させた。ビートや展開を目まぐるしく変える音像は、おどろおどろしさを含みながらも、全体を貫く印象はあくまでポップ。

BTSなどのアーティストにもTwitter上で話題にあげられるほど、末恐ろしいバンドとして注目を集める中、アルバム制作のスタイルや同時代の音楽に感じるものと自分たちが音楽に託す希望を語ってくれた。結果、彼らの類まれなバランス感覚が浮き彫りとなった。

「アルバムの世界観を写真で共有した」という新作に込められた物語とは?

ー『from Japan 2』から今作に至るまで、創作するうえでのモードに変化はありましたか?

小原綾斗(Vo, Gt):モードの変化……特にないですね。結局日々なにかには刺激や影響受けてるわけじゃないですか。だからたまたまアルバムを作る時にこのテンションだった、というか。

藤本夏樹(Dr):自然な成長だと思います。

ーじゃあ劇的な変化っていうのはなかった?

小原:そうですね。

ー楽曲の配置など、アルバム全体の世界観はいつ頃から意識し始めたのですか?

小原:アルバム制作とは関係なしに、 「素晴らしき世界」と「どうしよう」と「SONIC WAVE」の3曲を中国ツアーファイナルのライブ(3月1日に恵比寿LIQUIDROOMで行われた公演)用に作っていたんです。「SONIC WAVE」は、AAAMYYY(Cho・Syn)が加入するタイミングでMVも作って、リードとしてカマしたかった曲。こうくるだろうなって人が予測する展開と逆を攻めてみたくて作った曲ですね。

「どうしよう」はもっとTempalayを知ってもらうために、割とマスなわかりやすさを意識して。「素晴らしき世界」に関しては今の自分のテンションで本当にやりたいことだけをやってできた曲で。この3曲をライブでやってからアルバム制作の流れになったので、アルバムはこの3曲のコンセプトを基に、間を埋めていくように楽曲を作って肉付けしていこうみたいな。

Tempalay「SONIC WAVE」(Official Music Video)



ー全体としてコンセプチュアルなアルバムになっていますよね?

小原:はい。テーマとしては万物の誕生から滅亡するまでという普遍的なテーマでひとつの作品にしたくて。その流れでピャーっとやっていたという。

ーピャーっと(笑)。

小原:人類が誕生して今の社会システムができて、欲望にまみれた世界になって、それからテレパシーを使える時代が来たら、どういう風に恋をするんだろうという想像があって。「SONIC WAVE」でぶちかまして、後半の「Last Dance」には「地球最後の2人」っていう裏タイトルを設けて、その曲で人類の歴史が終わって。

「カンガルーも考えている」は、そうやって廃退した地球に人間という文明を探索しに来た宇宙人の視点で描いた曲で。彼らが星を荒らして、また頭の“誕生”に戻り、そこからまた生命が芽吹く。そういう映画的な流れを意識してみました。

ー円環構造の物語ですね。今の話はメンバーに制作段階から共有していたんですか?

AAAMYYY:いや、できあがってから聞きました。

藤本:想像でプレイしていました(笑)。歌詞が割と完成直前にできたので。言葉で説明するというよりは、写真で説明してもらってましたね。この曲は「地球爆発みたいなイメージ」とかそういう写真を見せられて、じゃあこの曲のドラムは乾いた音にしようとか、そういう感じで話し合って。

AAAMYYY:綾斗が伝えたい雰囲気が、写真から伝わってくるのでシンセの音色も歌とドラムのバランスをみて、足したり引いたり。サポート時代はまだ関係性が薄いので、「どういう音色、どういうリファレンスが欲しいの?」みたいな聞き方をしていて。今でもその部分は変わらないんですけど、メンバーになってからは、よりそのコミュニケーションの密度が高くなりましたね。メンバーに伝えられるニュアンスも増えたし、表現の自由度が上がって、楽しく作れました。

小原:AAAMYYYにこういうふうなものを作ってくれ、みたいな依頼の仕方をしていたけど、今はメンバーになったので一任してるというか。音作りにおいて、そういうのは変わったかもしれないですね。

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