渡辺大知が語る、黒猫チェルシー活動休止と人生を変えた3つの出来事

Rolling Stone Japan vol.04掲載/Coffee & Cigarettes 06 | 渡辺大知(Photo = Tsutomu Ono)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。今回のゲストは、2018年9月で活動休止となったロックバンド、黒猫チェルシーのヴォーカルであり、俳優・映画監督としても活動する渡辺大知だ。

Coffee & Cigarettes 05 | 渡辺大知(黒猫チェルシー/俳優/映画監督)

2018年9月で活動休止となったロックバンド、黒猫チェルシーのヴォーカルであり、俳優・映画監督としても活動する渡辺大知。今では「マッチでタバコを吸うという一連の動作が切なくていい」と飄々と語る渡辺だが、これまでの人生で価値観を変えた3つの出来事があるという。

黒猫チェルシーのヴォーカリストとして2010年にメジャーデビューを果たし、映画俳優としても『色即ぜねれいしょん』や、最近では『勝手にふるえてろ』や『寝ても覚めても』などで鮮烈な印象を残した渡辺大知。約束の時間に現場に現れた彼は、カメラの前に立つとタバコを1本くわえながらマッチを探した。

「ライターで火をつけるより、きっとマッチのほうが雰囲気も出ますよね?」

こちらの企画内容や、誌面のイメージを瞬時に汲み取り、積極的に協力しようとする渡辺。こうした細やかな配慮は、「音楽と映像」というまったく勝手の違う現場を渡り歩く中で身につけてきたものなのだろうか。否、おそらく最初から持っていた資質に違いない。だからこそ彼は、その人懐っこい笑顔とともに多くの人から愛され続けてきたのだろう。

「いやいや、単にマッチが好きなだけです(笑)。昔から凝り性なところがあるんですよ。趣味がそんなにないので、生活の中のツールとかこだわりたくなるというか。タバコもどうせ吸うなら楽しみたい、ライターよりもマッチのほうが性に合っている気がするんですよね」

マッチは擦ったら捨てる、箱の中のマッチが目に見えて減っていく。「その儚さが好き」と彼は言う。「マッチを擦って、タバコに火をつけてマッチを捨てるという一連の動作が切なくていいなって。それが愛着にもつながっている気がします」喫茶店へ行くたび、その店のマッチをもらうようにしている。すると、いろんな種類があることに気づいたという。可愛いマッチ箱を残しておくようにしているうちに、凝り性に火がつき始めた。気に入ったマッチ箱は、空になるとまたもらいに行くこともある。最近では、木更津にある喫茶店『ラビン』のマッチ箱がお気に入りだ。

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