中国が目をつけたノースカロライナの養豚業、悪臭は「お金の香り」

デュプリン郡で飼育される食用豚の排泄量は1日あたり1万5700トン。ニューヨーク市民が排出する約2倍の数字だ。(Photo by Grant Heilman Photography/Alamy)

中国は緩い規制を利用し、米国に豚肉の生産を安価にアウトソーシングすると同時に、ビジネスに伴う全ての環境問題や人的被害も押し付けている。

2013年7月1日、米国最大の豚肉加工企業スミスフィールド・フーズのCEOラリー・ポープは、中国のコングロマリット(現WHグループ)への保留中の企業売却について証言するため、上院の委員会に召喚された。同様の企業買収額としては過去最高の71億ドル(約8015億円)という金額もまた、関心を引いた。

売却先の中国側の豚肉加工会社の健全性は不透明で、食用豚に違法な化学薬品を与えているという噂もあった。さらにスミスフィールド社は長い間、自農場に環境問題を抱えており、数千件の水質汚濁防止法違反により1200万ドル(約13億5500万円)の罰金を科されたこともある。しかし懸念はそれでは収まらない。中国政府には、名目上の民間企業に国家の代理を務めさせてきた過去がある。「中国の食品会社が、米国の食肉大手企業を株主への説明責任なしに傘下に置くことには、やや懸念が感じられる」と、共和党上院議員のチャック・グラスリーは述べた。「安全で持続可能な食品の供給は、国家安全保障上の重要事項だ。同企業の売却は、米国の安全保障にどれほどの影響を及ぼすだろうか?」

南部訛りの落ち着いた口調でポープは、「同企業売却では全員が勝者になれる」と説明した。米国内の豚肉市場が衰退していく一方で、中国は世界最大の豚肉消費国になった。同企業売却で広大な市場が開くことにより、米国の地方に新たな雇用が生まれるだろう。「同売却が中国政府主導で行われているのか」という上院議員たちからの念押しを、ポープは笑い飛ばした。ポープは両企業が、コミュニティの健全性や豚農場周辺の環境を守ることを約束した。上院委員会から数カ月後、企業の売却が承認された。

やがて同企業売却に関する疑問が沸き起こった。中国経済は、政府が策定する五カ年計画に沿って推進され、民間企業も同計画に従うことが期待されている。2011年、10数億人の人口を擁する中国の中間層が堅調に豚肉を消費する中、中国政府は、国内企業による海外の食品メーカーや農場の買収を推進する計画を発表した。前出のスミスフィールドの買収を含め、2年の間に中国系が所有する米国の農場は、8100万ドル(約91億4900万円)規模から約14億ドル(約1580億円)にまで拡大した。

Translated by Smokva Tokyo

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