米人気コメディアンが81歳で実刑判決、TVでのイメージとはかけ離れた「性犯罪者」の顔

再審が行われている間、裁判での緊張は裁判所の外にも広がった。裁判初日、トップレス姿で抗議に現れた女性は、身体に「コスビーはレイプ犯」と書いてバリケードを突破し、逮捕された。コスビー被告の広報担当者は、彼を性的暴行で訴えた女性たちの代表弁護人をつとめるグロリア・オルレッド氏と裁判所前の階段で激しくやり合った。

陪審員が有罪評決を下した後、裁判所内部にも同様の騒動が沸き起こった。判事はコスビー被告の保釈金を100万ドルとしたが、スティール検事は、コスビー被告がプライベートジェットでアメリカ国外に逃亡することを恐れ、保釈金の引き上げを要求。これに対してコスビー被告は、自らを三人称で呼び「彼は飛行機なんか持ってない、ばかやろう!」と口を挟んだ。また、「もうあいつにはうんざりだ」とも付け加えた。

陪審員の評決を受け、オルレッド弁護士は「MeToo運動がついにモンゴメリー郡に、そしてこの国全体に広がった」と、記者会見の場で宣言した。またコスビー被告の弁護団に対しても挑戦的な言葉を投げつけた。「弁護団の皆さんの努力は無駄に終わりました。個人攻撃は上手くいかなかったのです。ビル・コスビーに対する言葉は3つだけ。有罪、有罪、有罪!」

リリ・ベルナードさんはコスビー被告を性的暴行で訴えた女性の1人だが、彼女もオルレッド弁護士の後にこうコメントした。「これはアンドレア・コンスタンドさんだけの勝利ではありません――彼女はレイプとの戦いにおけるジャンヌ・ダルクのような存在です――(中略)コスビー被告から被害を受けたと名乗り出た女性たちは62名に上りますが、グロリア・オルレッド弁護士のおかげで発言の機会を得られたのです。これは女性全体の勝利であり、男女を問わず、性的暴行の被害者全員の勝利です」

コスビー被告の弁護人はすぐに判決に対し上訴する構えを見せており、また被告側も有罪判決に対して疑問を呈し続けていると、ニューヨークタイムズ紙は報じている。弁護団の最近の主張によれば、「本件における重要証人と言い争いがあったことを、オニール判事は公表しなかった」として、判事には判決を下す資格がないと主張。その数日後、コスビー被告の妻カミーユ・O・コスビー氏はペンシルベニア州刑執行理事会に対し、オニール判事の審議するよう要求した。「私の夫は、倫理に劣る判事によって執り行われた裁判で不当に起訴されました」という彼女の発言を、タイムズ紙は報じている。

一方、検察側は民事訴訟裁判所に働きかけ、コスビー被告から暴行もしくは性的行為を強要された他の被害女性たちの証人喚問の承認をオニール判事に求めた。スティール検事は、これら女性は「被告の人格、経歴、コミュニティへ及ぼす脅威、リハビリの必要性について、的確に判断する際に不可欠な証言を提供してくれるだろう」と主張した。

Translated by Akiko Kato

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