二人が演奏する曲が常に無事に着地するというわけではないが(このインタビューの数日後に演奏したプリンスの「ビートに抱かれて/When Doves Cry」はオンラインで酷評された)、トゥルージロはヨーロッパツアー中に「数回グランドスラム」を達成したという。ヨーロッパでの彼らはユニークな選曲をしすぎて苦労した。つまり、歌を担当するトゥルージロは異国の言葉で書かれた歌詞を覚えなければならなかったのだ。「チェコ共和国ではよくわからない曲(Ivan Mladekの「Jozin z Bazin(原題)」)を覚えたんだけど、この曲は70年代以降に生まれた若者が必ず思春期に聞いた曲だって知ったよ。あと、バルセロナではカタロニア人アーティストのフラメンコ曲(Peretの「El Muerto ViVo(原題)」)をやったら、観客がザワザワし始めた。ヘルシンキでも同じで、俺たちがカバーした曲(Hassisen Koneの「Rappiola(原題)」)は、アメリカで言ったらラモーンズの曲をやったようなものだったんだよ。そのせいで、観客の感情に響きまくったらしく、全国ニュースでも取り上げられちまった」と、トゥルージロ。
現地時間10月16日のミルウォーキーで最終日を迎える北米アリーナツアーの準備をしている最中に、トゥルージロはカークとのドゥードル・コーナーでジャンルを超えた曲を演奏することの喜びを改めて実感したという。「これからは地元のアメリカだから、スタイル的には何でもありだね。R&Bのクラシック曲とか、カントリーの曲とか、パンクロックの曲とか、やりたいものをやるよ。俺にとってはこれが醍醐味なんだ。必要とあらばデスメタルで爆発するぜ」と。(そして、実際に爆発したのがスイスのジュネーブで演奏したセルティック・フロストの超ヘヴィーな「Procreation of the Wicked(原題)」で、2017年に他界した同バンドのベーシスト、マーティン・エリック・アインを讃えた。)