「愛」と「執着」は表裏一体、安田顕が映画『愛しのアイリーン』に衝撃を受けた理由

『愛しのアイリーン』で岩男役を演じた安田顕(Photo by Takanori Kuroda)

『ザ・ワールド・イズ・マイン』や『宮本から君へ』など、リアルな人間描写と荒唐無稽なストーリー展開で世にインパクトを与え続けてきた漫画家、新井英樹の90年代の代表作『愛しのアイリーン』がついに映画化される。

農家を営む両親のもとで暮らす宍戸岩男は、42歳を迎える今も独り身。密かに想いを寄せていた職場の女性にもフラれ、半ば自暴自棄でフィリピンへと向かった彼は国際結婚斡旋会社の紹介で、フィリピン女性のアイリーンと結婚を決めてしまう。彼女を連れて帰国すると、実家は父の葬儀の真最中。岩尾を溺愛していた母親は当然激昂し、アイリーンに猟銃を向けるほどの騒ぎになってしまう。

両親への仕送りのため、愛もなく結婚したアイリーンと、彼女に性的関係を迫り続ける童貞の岩男、そんな2人を何としてでも別れさせようと画策する母親。果たして、3人の関係はどのように変化していくのだろうか。

思わず目を背けたくなるような、人間の醜さやおぞましさ、浅はかさを正面から描く本作。メガフォンを取ったのは、『ヒメアノ〜ル』や『犬猿』で一世を風靡した吉田恵輔。原作を「もっとも影響を受けた漫画」と公言する彼により、その世界観が鮮やかに蘇った。

そこで今回は、岩男役に抜擢され見事に演じきった安田顕に映画の見どころについて訊いた。「愛」とは一体何なのだろう……「結婚」「家族」とは? 本作のエピソードとともに、そんな根源的なテーマについても深く話してもらうことができた。

─映画の反響ですが、公開前にしてすでに大変なことになっていますね。

安田:その前に一つよろしいですか? 実は僕、ビートルズのファンクラブに30年前から入っているくらい、ロックが好きなんですよ。なので『ローリングストーン』さんのインタビューを受けられるなんてとても光栄です。考えてみれば、岩男って“ローリングストーン”そのものですね、“転げ落ちていく岩”という意味で。

─あ、本当ですね! ありがとうございます。映画『愛しのアイリーン』、とにかく衝撃的だったんですが、安田さん自身も完成した映画を観て、「マイク・タイソンに殴られたような衝撃だった」とコメントされていますね。

安田:マイク・タイソンに殴られたら死んじゃうけど(笑)、鈍器で殴られたような衝撃を受けたのは事実です。この衝撃は一体どこから来ているのか、未だにその正体が掴み切れておらず、こうやってインタビューをさせてもらいながら自分なりに考えをまとめているところです。とにかく、作品自体の熱量もそうなのですが、吉田恵輔監督の原作に対する思いが画面からほとばしっていて、それに面食らっている自分がいる気がします。

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