学校への賄賂は当たり前…タイ映画史上1位の作品に込められた教育システムへの疑問

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.)



ーええ。わりとインディペンデントな作品が多いですね。そのビデオショップ“めがねのおじさん”には、マニアックなものも含めていろいろあった、ということですね。

プーンピリヤ:そう。そのお店にはハリウッド映画はまったく無くて、海外のなかなかみられないインディーズ映画ばかりが置いてありました。チャトゥ・チャク・ウィークエンドマーケット(タイの首都・バンコク最大のマーケット)という場所の一角で、土日しかオープンしないお店でした。しかもそのお店は違法ビデオ屋さんで、どれがオリジナルかはわからないけれど、大量にコピーをして売っていました。仕方ないです、当時そういった映画作品の価値を認めて配給してくれる会社が、タイには無かったので。そのビデオ屋がなければ、 トランスフォーマーやハリーポッターシリーズのような作品しか観ることができなかった。つまり、あのお店のオーナーは『バッド・ジーニアス』の主人公・リンみたいな感じですよね。システムと戦うために、不正をやっている、という。今から10年ちょっと前、僕が20代の頃に有名なお店でした。今ではそういったビデオ屋というのもほとんどなくなり、インディーズ映画なども皆、ネットで観ていますね。


撮影中の監督と、台湾でも人気を博すバンク役のNon(チャーノン・サンティナトーンクン)。©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.

ーインディペンデント系の日本映画もたくさんご覧になられていた監督ですが、日本に来られるのは初めてですか?

プーンピリヤ:いえ。日本は今回で、8回目です。タイ国内で流れるショートムービー撮影のために日本へロケに来たこともありました。日本で好きな場所は……回転寿司(笑)。タイにもありますが価格が高いし、日本ほど新鮮じゃないのでおいしくない。タイ人は皆、日本食が大好きです。

ー日本にそんなに来られていたとは! 海外への留学経験もありつつ、監督ご自身は拠点をタイに置かれて制作をされていますね。今、タイで映画を作ることに感じる面白さと、アジアで映画を発信していくことに対して、感じている意味合いについてお聞きしたいです。

プーンピリヤ:そうですね……、『バッド・ジーニアス』の制作を決めたときは、“海外でヒットしてほしい”とかそういったことは実際のところまったく考えておらず、タイ国内で赤字にならなければハッピーと思っていました。でも恐らく、本当にたまたま、映画の中に、広くアジアの人たちへ届くようなメッセージ性があったからこそここまでヒットしたのだと思います。それがすごく予想外のサプライズでした。つまり、輸出用に作っていたわけではないのです。けれども、映画を撮るときは、国籍をタイ人に限定しているということはありませんし、どんな国の人でも理解してもらえたら、と思って作っているので。たまたま自分の国で作っているし輸出は意識していないけれども内心では、みんなの心に届く、みんなが共感できる映画であればいいなとは思っています。それが、僕が映画を作る際の、スタンスですね。


©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.



『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』
2018年9月22日より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:ナタウット・プーンピリヤ
配給:マグザム、ザジフィルムズ
https://maxam.jp/badgenius/

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