ー先ほどのお話に出た、脚本を一緒に手がけられたおふたりも含め、そういった信頼のおけるスタッフの方々というのは、初めての座組でしたか? あるいは以前に監督はこのスタッフとともに別の作品も手がけられたことがあったのでしょうか? プーンピリヤ:アートディレクターも、衣装デザイナーも、カメラマンも、ほとんどが以前から何年間も一緒に仕事をしているスタッフ達でした。自分がこうしたい、ということをすぐにわかってくれるので、今回も長編映画ですが非常にやりやすかった。特にカメラマンとはもう7〜8年組んでいて、僕はこれまでにCMやショートフィルムを70〜80本ほど撮っているのですけれども、そのうちの95%以上は、その人に撮ってもらったものです。
ー映像の中には最新のMVのような実験的な要素もたくさんあって、広告制作の世界の影響も強く感じました。現在のタイには、広告などの業界を経てから映画を撮るような監督も増えているのでしょうか?プーンピリヤ:僕みたいに両方やっている人というのはまだ少なく、CMの人はCM、タイ映画の人はタイ映画ばかりというのがほとんどかと思います。僕の場合は、CMといってもWEB広告用のショートムービーを手がける機会が多かったので、こうした映画制作と並行しやすかったことも大きく影響していると思います。これからは、そういう人もタイ国内から多く出てくるかもしれませんね。
日本人ならば共感するポイントも多くあるタイの学園生活の描写も興味深い。(©GDH 559 CO., LTD. All rights reserved.)ーそんな監督が、学生時代も含めてこれまでに影響を受けてきた映画作品があれば教えていただきたいです。プーンピリヤ:子どもの頃からハリウッド映画を見て育ってきたので、ハリウッドの大型作品はどれも影響を受けていますし、監督でいうとクエンティン・タランティーノ、デイヴィッド・フィンチャー、マーティン・スコセッシらの作品も大好きです。
ーちなみに、日本の映画もご覧になりますか?プーンピリヤ:はい、好きです! ちょっと古い作品だと是枝裕和監督の『誰も知らない』そして北野武監督(本作はビートたけし名義)の『みんな〜やってるか!』などでしょうか。
ー『みんな〜やってるか!』というタイトルがプーンピリヤ監督から聞けるとは思わなかったです! なかなかにマニアックですね。日本映画はタイでも数多く公開されていますか?プーンピリヤ:なぜか『みんな〜やってるか!』が好きというと日本の皆さんは笑って意外だという反応をされますね(笑)。そうですね、日本映画の上映自体はタイではそんなに多くないですし、ちょっと前まではネット配信なども無かったので、なかなか触れる機会は少なかった。僕が影響を受けてきた日本映画は、あるビデオ屋さんのおかげで観たものがほとんどです。外国の珍しい映画を観たいと思っているタイの映画好き誰もが行っている、と言っても過言ではない“めがねのおじさん”というお店があって。そこで僕もいろいろ買って観ていたんです。そこで結構な数を観て、たとえば『茶の味』『花とアリス』あとは『隣人13号』も僕は好きなのですが、これは日本人でも知らないことがままある作品ですよね?