プリンス、ストリーミングで聴ける後期の傑作10曲

5. 「Xpedition」―2003年『エクスペクテーション』より
マイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」とMahavishnu Orchestraを足して2で割ったような、アンプ全開の爆裂フュージョン。2003年にリリースした2枚の全曲インストゥルメンタル・アルバムのうちの1枚に収録されている(もう1枚は『N.E.W.S.』)。サックスにキャンディ・ダルファ、ヴァイオリンにヴァネッサ・メイを迎えた、最強の顔ぶれ。

6. 「U’re Gonna C Me」―2002年『ワン・ナイト・アローン…』より
徹頭徹尾ファルセット、シンセエフェクトを加えた華やかなピアノ曲。プリンスのなかでも唯一、全曲ピアノで通したアルバムに収録されたこの曲は、在りし日のジョニ・ミッチェルへのオマージュであることは明白。もちろん、同じアルバムに収録されている「A Case of U」のゴージャスなカバーでは、初期のジョニに対して敬意を払っている。

7. 「Call My Name」―2004年『ミュージコロジー』より
ココナッツオイルのように甘美で官能的な1曲で、プリンスは現代のネオソウル・アーティストらとコラボレーションしている。そもそも、彼らの音楽センスはプリンスによって研ぎ澄まされたのだが。セクシーチャンピオンの座をかけて、ディアンジェロと接戦を繰り広げているかのよう。

8. 「Black Sweat」―2006年『3121』より
ありきたりだが、十分茶目っ気を残した抑え目気味の
シングル。しびれるエレクトロファンクのグルーヴに、シンセのサウンドがドクター・ドレ風にまくしたててくる。体が解きほぐれていくようなダンスミュージック――「白人のご婦人のように叫びなよ/3つ数えるうちにさ」

9.「Chelsea Rodgers」―2007年『プラネット・アース』より
「食事はロクに摂らない」くせに「革張りのソファみたいに張りのあるお尻」を持つ、“21世紀のヒッピー”を称える応援歌。女性版スナフキンといったボーカリスト、シェルビー・ジョンソン(ディアンジェロやソウルクエリアンズとも共演)とのデュエット曲は、ホットなディスコ・ファンクにハンドクラップとブラスセクションが容赦なく鳴り響き、とことん叩きのめされる。手慣れたクラブDJたち、とくにデトロイトの伝説Moodymanの間ではおなじみの最終秘密兵器。

10.「So Far, So Pleased」―『レイヴ・アン2・ザ・ジョイ・ファンタスティック』より
グウェン・ステファニとの超速デュエット。「リトル・レッド・コルヴェット」の余韻を、ダンスフロアの勢いにのせ、ポップの華を紙吹雪のごとくあたり一面に振りまく。晩年のプリンスは過去の栄光に寄りかかってただけ、と思い込んでいる人にぜひ聞かせたい。

Translated by Akiko Kato

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