BTS、全米進出の舞台裏:2017年LA滞在記

2017年11月にLAを訪れたBTS(Photograph = Brian Guido)


メンバーの中で最も可愛らしい22歳のヴォーカル担当、JIMINはいたずら好きで、最近は女性が持つような手鏡を見ながらアゴのヒゲを剃ったりしている。彼はもともと現代舞踊のエリートだった。大きな瞳を持つVはヴォーカル担当で、22歳の芸術学校の生徒でもある。2016年に韓国の歴史ドラマでスクリーンデビューも飾った。今、彼は紫がかった灰色の髪を整えてもらっている。歯に挟まったものを爪楊枝で取ろうとしているのがラップ担当のSUGAで、彼もRM同様にアンダーグラウンドのラッパーとして活動を始めている。目にアイライナーを入れてもらっているのが20歳のリードヴォーカルのJUNG KOOK。若干15歳でBTSに加入した熱狂的なジャスティン・ビーバー信奉者だ。一方、ヴォーカル担当のJINは25歳の俳優志望。非常にハンサムな彼は街中を歩いているときにボーイズグループのキャスティング・エージェントにリクルートされた経歴を持つ。今、彼は無言で突風の中を歩いている。BTSの取り巻きの数は膨大だ。人数を数え始めた私も30人を超えたあたりから分からなくなったほどだ。複数のマネージャー、パブリシスト、振付師、マッサージ師、通訳、ヘアメイク、撮影スタッフ、怖い顔の警備員たち、何人ものイヤホンを付けた運転手たち……。


Photo by Brian Guido

彼らの母国の韓国では、現時点でBTSの記録を破る者は皆無だ。ビデオ視聴者数、アルバムの予約販売数、チャートの順位など、彼ら自身が自らの記録を更新している状態である。そして、その現象は他の国でも見られつつある。直近の5枚目のミニアルバム『LOVE YOURSELF 承 ‘Her’』には、チェインスモーカーズのアンドリュー・タガートが作った曲が収録されており、73カ国のiTunesアルバム・チャートで1位になった。そして、スティーヴ・アオキがリミックスした楽曲「MIC Drop」で、K-POPグループとして初めてアメリカのメインストリームに分け入り、全米シングル・チャートでトップ40圏内をランクインした。


Photo by Brian Guido

「この2017年という、今の時代に生きている僕たちはラッキーです」とRMが言う。英語での会話がスムーズにできる唯一のメンバーが彼だ。「僕たちがツイートすると30以上の言語に翻訳されます」。彼らの歌の歌詞はほぼ韓国語だが、YouTubeでは字幕がついており、Geniusなどのサイトで翻訳されている。これが世界規模での成功に一役買っているのだ。また、BTSの曲は憂鬱や不安のような問題に立ち向かう内容である。そして、女性の権利拡大や異なる環境で育った人を受け入れるというような、進歩的な社会の理想像を後押しする。加えて、他のアイドル(K-POPスターたちはこう呼ばれる)とは違う、商業ベースに乗らない道を歩く不安なども包み隠さない。


Photo by Brian Guido

BTSのファンは、彼らの正直さや独立心を気に入っているのだ。これらの要素は近年西洋のポップ・ファンが求めているものでもある。さらにBTSは超近代的なプロダクションに抜け目なくメッセージを入れ込む(彼らは自分たちの手で作業を行うことが多い)。彼らが取り入れているプロダクションにはEDMのあらゆる手法、ラップやR&B寄りのポップスなどが盛り込まれている。メジャー・レイザー、ジャスティン・ビーバー、DNCE、ロジック、チェインスモーカーズ、ニック・ジョナスなどに近いポップスともいえる。とてもキャッチーで、さまざまな模様が縦横無尽に織り込まれた音楽を生み出しているのだ。

Translated by Miki Nakayama

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