連続殺人鬼の正体を暴いたDNAデータベースと家系図作成サイトの最強タッグ

2018年4月、法廷に姿を現した“ゴールデン・ステート・キラー”とされるジョセフ・ジェームズ・デアンジェロ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)



当初、GEDMatchの共同創業者カーティス・ロジャースは、GSKやその他の容疑者逮捕の目的で捜査当局にサイトを利用させることを躊躇していた。フロリダに住む70代後半のロジャースは、ティーンエイジャーの頃から系譜学をかじっていた。「私は、サイトにデータを登録する人々のプライバシーを重視してきた」と彼はローリングストーン誌に語った。「我々の満足するやり方を見出し、捜査に利用させようという決心がつくまで数カ月を要した。ジャック・ザ・リッパーがまるで清らかな少年のように見えるほど残虐な犯人が、街をうろついている。一方で我々には、それが適切かどうかは別にして、サイト登録者のプライバシーを守る責任がある」

ロジャースの採用した解決策は、法執行当局が容疑者を追跡するため、できる限り透明性を保ちながらサイトを事実上利用させることだった。現在は引退したビジネスマンのロジャースによると、サイトから去った利用者もいたが、登録数は高いレベルを保っているという。彼はGEDMatchの正確なユーザー数を把握していないと言うものの、100万程度はいるとしている。さらにGSKの逮捕を受け、サイトのユーザーたちからは彼の決断に対する称賛の声が寄せられたという。

「ある人からメールを受け取った。“あなたのウェブサイトに私のDNAを登録し、公開してもらいたいと思います。なぜなら私の父親はシリアルキラーだったからです。私はどのような未解決事件も解決してもらいたいのです”というものだった。人々からはこのようなリアクションを受けた」

GSKのような事件が注目されたおかげで、法医系譜学者たちによる法執行機関への協力を正当化しやすくなったといえる。有名な系譜学者のシーシー・ムーアもその一人だ。ムーアは最近、身元不明者や行方不明者の絡む事件の解決に貢献している。彼女はまた、PBSの『Finding Your Roots』などのテレビ番組へコンサルタントとして出演している。

現在ムーアは、パラボン・ナノラブス(ヴァージニア州レストン)とDNA表現型の分野で捜査機関に協力し、DNAをもとに人の外見を推測しようとする技術を提供している。パラボンの採用するDNAプロファイル生成方法は、アイデンティファインダースのものとは異なるが、両者から得られる情報はGEDMatchと互換性があるため、ムーアは以前よりも広い範囲で行方不明者や容疑者を検索できるようになった。これも、GSK事件が垣根を取り払ってくれたおかげだといえる。事実彼女は、ミラック殺人事件の容疑者特定に貢献した。

「GSK事件のおかげで、GEDMatchの登録者からの公式な同意を得やすくなったと思う。それまでは、大きな事件に関わったり注目度を上げることは期待できなかった」と彼女は言う。デアンジェロの逮捕については、彼女のコミュニティでも広く好意的に受け止められており、それ以降彼女は7人の逮捕に貢献している。

ミラック事件を担当する地区検事長によると、2017年に彼のチームはパラボンの協力で殺人犯のモンタージュ写真を作成し、一般公開した。犠牲者の弟ヴィンス・ミラックも、当初は期待を抱いていた。「事件解決の糸口になってくれると思っていた。容疑者のモンタージュ写真があれば、“あいつだ”と特定できる。科学はとても正確なものだと思われている。しかし、実際は思い通りにいかなかった」

ゴールデン・ステート・キラーの容疑者逮捕を受け、地方検事長がパラボンとムーアに対してGEDMatchを利用したマジックの再現を依頼したことで、捜査が具体的に進展し始めた。捨てられた水筒や容疑者の噛んだチューインガムを調べた結果、2018年6月にペンシルベニア警察は、人気パーティDJのロウを殺人容疑で逮捕した。

「全てが迅速に進んだ」と地方検事長は言う。「とても素晴らしい。法執行機関による捜査を変える画期的なテクノロジーだ。その意味で、今後あらゆる事件にも適用されることが期待する」

Translated by Smokva Tokyo

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