連続殺人鬼の正体を暴いたDNAデータベースと家系図作成サイトの最強タッグ

2018年4月、法廷に姿を現した“ゴールデン・ステート・キラー”とされるジョセフ・ジェームズ・デアンジェロ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)



法医系譜学という分野は、2018年4月25日のジョセフ・ジェームズ・デアンジェロの逮捕をきっかけに、世間の注目を浴びるようになった。逮捕当時72歳の元警官が、“ゴールデン・ステート・キラー(GSK)”として逮捕されたのだ。GSKは長期にわたって、法執行機関や犯罪愛好家の頭から離れない問題だった。

推理小説作家ミッシェル・マクナマラの著書『I’ll Be Gone in the Dark』によると、容疑者は1974年〜1986年の間にカリフォルニア州で、少なくとも12件の殺人と50件の性的暴行、100件の侵入窃盗を実行したとされる。マクナマラが名付けた“ゴールデン・ステート・キラー”だけでなく、容疑者は“イースト・エリア・レイピスト”、“オリジナル・ナイト・ストーカー”、“ヴァイセイリア・ランサッカー(ヴァイセイリアの略奪者の意)”と呼ばれる犯罪者とも同一人物と考えられている。

最近引退した刑事のポール・ホールズは、カリフォルニア州コントラ・コスタ郡の副保安官に就任した1990年後半から、GSKの捜査に携わってきた。「当初は道楽のような感じでこの事件の捜査を始めた」と彼は言う。「誰に指名された訳でもなく、ただ“俺がこれをやってやろう”と思っただけだ。正直に言うと、時が経つに連れ“解決しなければ”という気持ちが大きくなり、頭がいっぱいになった」

その後のDNAテクノロジーの進歩のおかげで、ホールズはGSKを取り巻く様々な別名をつなぎ合わせることができ、全ての犯罪は一人の人間によるものだという推論に行き着いた。

2012年に法医系譜学を採用したホールズは、同僚の刑事と系譜学の外部コンサルタントによる専門チームを結成した。チームは、1980年のGSKによるとされる殺人事件の現場で採取したサンプルから、包括的なDNAプロファイルを組み立てた。鑑定結果はGEDMatchというウェブサイトへアップロードされた。さらに系譜を詳しく調査し、また、デアンジェロの車のドアハンドルやゴミからさらなるDNAサンプルを採取した結果、容疑者が浮かんだ。

「デアンジェロの名前は、そもそも捜査上に全く上がっていなかった」とホールズは驚く。「我々には、8000人を超える容疑者のリストがあった。我々捜査員一人ひとりが努力して挙げた全ての容疑者の中に、彼の名前はなかった」

法医系譜学のパイオニアであるアイデンティファインダース・インターナショナルのコリーン・フィッツパトリック博士によると、法医学の領域で系譜学データベースを利用できるようになるまで少々苦労したという。約10年前から23andMeのようなサービスが常染色体DNAを扱い始めたが、厳格なプライバシーポリシーのため、法執行機関が情報へアクセスすることは実質不可能だった。

「Ancestry、23andMe、My Heritageなど多種大容量のデータを持つ遺伝子系譜学側の人間と、法医学関係の人間との間には、垣根があった」と彼女は言う。「だから法医学の人間は、ゴールデン・ステート・キラーをはじめとする容疑者たちを捕らえるために喉から手が出るほど欲しいとてつもないデータを、垣根越しにただ眺めるしかなかった」

Translated by Smokva Tokyo

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