スピリチュアライズドのジェイソン・ピアース、"最後のアルバム"と完璧主義者の苦悩を語る

スピリチュアライズドのジェイソン・ピアース

90年代のUKロックを代表する名作『宇宙遊泳』などで知られるスピリチュアライズドが、6年ぶりとなる新作『アンド・ナッシング・ハート』を9月7日(金)にリリースする。"キャリア最後"のアルバムとも噂されている同作は、バンドの中心人物=ジェイソン・ピアースが一人で自室にこもって制作を行ったという。バンドは9月26日(水)に、東京・新木場Studio Coastでの単独公演も決定済み。今回は、ジェイソンが語った公式インタビューをお届けしよう。

ー本作の制作に取り掛かる前、これまでのようにバンドでレコーディングしたいと考えていたのでしょうか? 予算の問題で不可能となったとプレスシートに書いてありますが、『レット・イット・カム・ダウン』のような大人数が必要だったからでしょうか?

ジェイソン:最初は、ビッグなオーケストラ・レコードを作りたかったんだ。ギル・エヴァンズやレイ・チャールズのような。ただ、実際レコーディングするとなると、そのための十分な予算がなかった(笑)。でもその夢を諦めたくなくて、ワンセッションで全てを一気にレコードするのではなく、作品を小さく分けて、それを2、3年かけて自分でレコーディングして一つにまとめたんだ。

ーそのバンドでレコーディングすることを思い描いていたタイミングのアルバム像と、出来上がったアルバムとの差異はありますか?

ジェイソン:もちろん。一つのセッションでレコーディングができる部屋を借りられていたらそれは起こらなかったかもしれないけれど、思い通りには行かなかったから。でも、それが逆に良かったんじゃないかと思う。結果もちろんギル・エヴァンズやオーケストラ、レイ・チャールズのセッションには聴こえない。しかし、自分なりの方法を見つけ出し、面白いもの、自分が満足のできる作品を作り上げることが出来たからね。



ー初めてコンピューター・ミュージックに挑戦したわけですが、あなたにとっては悪夢のような作業だったようですね。あなたの頭で鳴っている音を、デスクトップ上で具現化するという作業がいちばん困難だったのでしょうか?

ジェイソン:そこまででもない。やはり時間はかかったけどね。自分にとって新しいことだったから習得に時間もかかったし、もちろん毎回うまく行ったわけではなかったけれど、それがエキサイティングでもあった。昔は、好きな音楽を聴くと、その音楽に影響を受けていたんだ。でも、歳をとった今はそれが変わって、そういう音楽はすでに世に出ているのだから、自分が作品をリリースするのであれば、すでにそういった音楽が存在している上でもリリースする価値のある音楽を世に送り出さなければ、という責任感のようなものを感じるようになった。またツアーに戻った時に感じる気持ちと似ているかもしれないな。

ーでは、いちばん困難なことは何でしたか?

ジェイソン:ずっと長く同じものにエネルギーを使っていると、世界を変えるわけでもないものに、どれだけ労力を使っているんだと感じてしまう時もある。その状態に陥ること。あと、ずっと一人で作っていたから孤独でもあった。全て一人だったということがやはり大変だったと思う。

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