エアロスミスのジョー・ペリーが語る現在地「日本でのソロ公演は感謝のしるし」

ーアメリカではエアロスミスの「コンビネイション」「アダムのリンゴ」「ワン・ウェイ・ストリート」を演奏しましたが、何故それらの曲を選んだのですか?

ジョー:エアロスミスのショーでは、50年近く書き続けた曲を約2時間に収めなければならない。ヒット曲やバンドとファンのフェイバリットを選んでいくと、俺が気に入っているのにプレイ出来ない曲が出てくるんだ。そんな中から幾つかピックアップした。俺自身が楽しんでいるし、俺のソロ・ライブを見に来るお客さんにはマニアックなエアロスミスのファンも多いから、アメリカではすごく盛り上がったよ。

ー『Sweetzerland Manifesto』を作ったとき、アルバムに伴うライブを行うことを前提としていましたか?

ジョー:もちろん! 俺はいつもギター・リフを書くとき「ライブだとどう聞こえるだろうか?」と考えているんだ。俺ぐらいの年齢のロック・ミュージシャンの大半がそうなんじゃないかな。ビートルズの『サージェント・ペパーズ』なんかは例外だけど、ロックのレコードはライブで演奏することが前提となっているんだ。唯一困ったのは、複数のシンガーに歌ってもらったことだった。ニューヨーク・ドールズのデヴィッド・ヨハンセン、チープ・トリックのロビン・ザンダー、そしてテリー・リード……彼らとスタジオで共演する機会を逃すなんて、俺には出来なかった。彼らはアルバムに膨大なエネルギーを注入してくれたし、『Sweetzerland Manifesto』をさらに強力でエキサイティングなアルバムにしてくれた。今年1月にハリウッドの『ロキシー』でやったショーではデヴィッドやロビン、テリー、ブラック・クロウズのクリス・ロビンソンが来てくれたんだ。本当は彼らと一緒に日本に来ることが出来ればアルバムに近くなるんだろうけど、それはスケジュール的にもコスト的にも難しい。それに俺は“バンド”の単位が好きなんだ。ステージをいろんなシンガーが出入りするより、一体感のあるショーをやりたい。ゲイリーは『Sweetzerland Manifesto』の曲を、オリジナルの魂を生かしながらユニークな唱法で歌うことが出来るんだ。


『Sweetzerland Manifesto』収録曲「Aye Aye Aye」のライブ映像。歌っているのはロビン・ザンダー。


ーデヴィッド・ヨハンセンが「I Wanna Roll」「Haberdasher Blues」の2曲で歌っていますが、エアロスミスとニューヨーク・ドールズは1970年代初めに東海岸からデビューした、いわば“同期”ですよね?


ジョー:その通りだ。ニューヨーク・ドールズとエアロスミスは同じマネージメント事務所と、同じ週に契約したんだ。エアロスミスがニューヨークのクラブ『マックス・カンザス・シティ』でショーケース・ライブをやったとき、ドールズが総出でサウンドチェックを見に来たよ。ボストンから出てきた新人バンドがどれほどのものか、気になったんだろう。俺たちも彼らのショーを見に行った。お互いに意識していたけど、ライバルという感じではなかったな。ロックンロールの同志だったよ。ドールズが最初の解散をする前、デヴィッドと俺はよく飲みに行ったりした。俺の家にも何回か来て、ホーム・スタジオでジャムをやったよ。デヴィッドのソロ・アルバム『デヴィッド・ヨハンセン』(1978年)で数曲ギターを弾いたりした。ジャック・ダグラスはエアロスミスとドールズの両方をプロデュースしたことがあるし、みんな友達だ。

ー『Sweetzerland Manifesto』では3曲でテリー・リードが歌っていますが、彼との付き合いは長いのですか?

ジョー:テリー・リードを初めて聴いたのは1960年代の終わり、どの曲だったか覚えていないけど、シングル曲だった。後になってから、彼がレッド・ツェッペリンのシンガー候補だったことを知ったんだ。『Sweetzerland Manifesto』を作っているとき、共同プロデューサーのジャック・ダグラスと話していて、テリーの話題が出たんだよ。ジャックが「ここから車で2時間のところに住んでいるよ」と教えてくれた。それでスタジオに遊びに来てもらって、何曲か聴かせてみたんだ。「家に持ち帰って、何か出来るかやってみていいか」と言われたんで、ぜひ!とお願いしたよ。彼は翌日また来て、ヴォーカルを録音した。アルバムでは3曲歌っているけど、実はもう1曲あって、それはアナログ盤にボーナス・トラックとして収録する予定なんだ。

ジョー・ペリー

ーエアロスミスとしては2018年5月にニューオリンズのジャズ&ヘリテージ・フェスティバルに出演、8月には『トゥデイ・ショー』などのTV番組に出演しましたが、今後の予定は決まっていますか?


ジョー:2019年の4月・6月・7月に、ラスヴェガスの『パークMGM』ホテルでエアロスミスのレジデンシー・ライブをやるんだ。ホテル内のシアターで、18公演をやることが決まっている。ラスヴェガスだからといって曲芸師やゾウが出てくるわけじゃない。ピュアなロックンロールを損なうことなく、それに新たな要素を加えていくショーになるよ。ツアー・バスの移動や時差ボケがないから、体力を気にせずにプレイ出来る。日本から来るファンももちろん大歓迎だ。エアロスミスの新曲を書いてスタジオに入ることをスティーヴンと話し合っているから、それに向けての起爆剤となる筈だよ。それに加えて、ハリウッド・ヴァンパイアーズとしてもニュー・アルバムを出す予定だ。まだまだやりたいことは幾らでもあるよ。

ーまずは9月の日本公演ですね!

ジョー:うん、日本でのライブは、俺のソロ・キャリアにとって大きなターニングポイントになるかも知れない。これが成功すれば扉が開かれて、世界各地をツアーすることが出来るし、日本に戻ってくることも出来る。日本でソロ・ライブをやるのは、長年の夢だったんだ。日本のファンはエアロスミスをずっと応援してきてくれた。今回のライブは、彼らへの感謝のしるしだ。これまで何度も日本でプレイして、ファンから「この曲をプレイして欲しい!」という声もあった。そんなリクエストにも応えるつもりだ。みんなとロックンロールを共有することに、最高のスリルを感じているよ。



JOE PERRY AND FRIENDS  JAPAN Tour 2018
9月17日(月・祝)メルパルクホール大阪
9月18日(火)東京・品川プリンス ステラボール
http://udo.jp/concert/JoePerry

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