N.W.A『ストレイト・アウタ・コンプトン』: 知られざる12の事実

9.『ストレイト・アウタ・コンプトン』の発表前に、アラビアン・プリンスは印税収入を巡るトラブルを理由に脱退している

アイス・キューブ脱退のきっかけが金銭面におけるトラブルだったことは広く知られているが、アップリフティングなアルバムの最終曲「サムシング・トゥ・ダンス・トゥ」に参加しているアラビアン・プリンスは、アルバムの発表前に同様の理由でN.W.Aを脱退している。「印税収入を巡って、俺は不満をぶちまけた」彼はハフィントン・ポストにそう語っている。「俺は元々ソロで活動してたから、印税収入のステートメントの見方は理解してた。目を通してみるとすげぇ額が発生してるのに、その分配方法がまるでフェアじゃなかった」。『ストレイト・アウタ・コンプトン』のジャケットで、彼はアイス・キューブとDJイェラに挟まれる形で写っている。



10.「ストレイト・アウタ・コンプトン」のビデオがMTVで放送禁止となったこに、メンバーたちは憤慨していた

結果的には話題性の向上に繋がったものの、1989年春に「ストレイト・アウタ・コンプトン」のビデオがMTVで放送禁止となったことに、当初メンバーたちは憤慨していた。当時のL.A. Weekly紙に掲載された記事によると、メンバーたちは警察がギャングを制圧しようとする様子を描いたそのビデオが、トーン・ロックのケースと同様の形でN.W.Aの人気に火を点けることを期待していたという。「あのビデオに出てくるシーンなんて、現実の状況に比べれば可愛いもんだ」MCレンはそう語っている。「銃をぶっ放すシーンがあるわけでもないのに、MTVは敏感になり過ぎてるんだよ。近頃のアニメなんか、俺たちの曲よりもよっぽど過激じゃんか。銃を持ったキャラクターが登場するアニメを見たら、子供は銃を欲しがるだろ?G.I.ジョーなんてその最たる例だ。MTVラップが俺たちのビデオを流さないってのは、まったくもって理不尽だ」

11. トラックにはサンプルだけでなく、ドクター・ドレーが雇ったセッションミュージシャンの演奏も使用されている

『ストレイト・アウタ・コンプトン』の「エクスプレス・ユアセルフ」では、チャールズ・ライト&ザ・ワッツ・103rdストリート・リズム・バンドの同名曲のグルーヴが再現されているが、ライトは自身の名前がクレジットされていないことに憤慨した。『Original Gangstas』によると、ライトはPriority Recordsを介して、アイス・キューブによる謝罪と著作権使用料を受け取ったとされている。

12. ドクター・ドレーは『ストレイト・アウタ・コンプトン』を気に入っていない

「今でも俺はあのアルバムにまるで満足していない」『Original Gangstas』によると、彼は1993年のインタビューでそう語っている。「あのアルバムの制作期間はたった6週間だったから、手持ちの中から使えそうな素材を探すしかなかった」。さらに彼はこう付け加えている。「当初の予定では、コーラスは全部俺のスクラッチになるはずだった」

Translated by Masaaki Yoshida

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