エド・シーランの新作ドキュメンタリーが明かす、ヒット曲誕生の裏側

シーランのケタ外れな向上心もあますことなく描かれる。商業的に大成功を収めたにもかかわらず、彼の野望は留まることを知らない。「もしアデルよりもビッグになる気がないなら、この業界にいる意味はない」と、シーランが語る場面がある。「僕は男性版アデルになりたいわけじゃない。アデルになりたいんだ」

だが、そうした『÷(ディバイド)』制作のこだわりとは裏腹に、シーランは映画に関しては干渉しない方針を貫いた。カミングスが完成した作品を送った際、シーランから出された要望は3つだけ。「ひとつは、自分の後ろ姿が写っているシーンは、あまり見栄えがよくないから差し替えてほしいということ。もうひとつは、言葉遣いが荒いシーンはカットすること。最後は、いかにも映画らしいエンドロールではなく、ファンのみんなが楽しめるようなものにしてほしい、ということ」

映画として、監督が最終的に目指したものは? 「ギターを始めるとか、自分がのめり込めるものに打ち込むとか、そんなきっかけになる映画にしたかった」と、カミングスは言う。「いろんな楽しみ方ができる映画にしたかった。ファンにとっては、ステージ上とは違うエドの姿を楽しんでもらえるだろうし、音楽に興味がある人にとっては、曲がどうやって作られるのかというい点で興味をもってもらえると思う。エドを知ってる人だけじゃなく、彼の音楽が好みじゃない人にも興味を持ってもらえると思うよ。彼がどれほど苦労して曲を書上げているのかを見れば、びっくりすると思う」


クルーズの旅の道中、曲作りのためにセッションするベニー・ブランコとシーラン。(Photo by Abramorama)

10年以上にわたる膨大な映像を選別するにあたり、監督は、映画のタイトルとともに作品の方向性が定まったと言う。「アーティストとしてのエドは、いわゆる“シンガーソングライター”に分類されるだろ? だから“シンガー”の部分を削除して、“ソングライター”というタイトルにした。あとは、その部分に焦点を置いたよ」



「Songwriter」
Apple Music にて8月28日より配信開始。
apple.co/songwriterfilm

Translated by Akiko Kato

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