サマソニLIVEレポ「現在進行形のノエル・ギャラガーが示したもの」

中盤はファースト『ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ』から「If I Had a Gun...」や「Dream on」、セカンド『チェイシング・イエスタデイ』から“イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント”など、オアシス時代のノエル節を感じさせる楽曲を披露し、ついに「Little By Little」そして「Whatever」とオアシスの楽曲をセルフ・カヴァー。シャルロットがハサミをパーカッション代わりに用いて話題となった「She Taught Me How to Fly」を挟んでさらに「Half The World Away」「Wonderwall」とオアシスの楽曲を披露する。やはりノエル・ギャラガーは稀代のソングライターだな、とあらためて思い知らされるが、不思議とノスタルジックな感傷は湧いてこない。既にノエルは新たなフェーズへと移行しており、過去曲も今のモードでリアレンジが施され、違和感なくセットリストに組み込まれているのだ。

それを如実に表していたのが、再び黒人女性シンガーとデュエットした壮大なサイケデリック・ソング「The Right Stuff」に続いて演奏された、ドンルクこと「Don’t Look Back in Anger」だ。バンドサウンドではなく、ノエルの爪弾くアコギを中心としたアレンジに変貌していても、何一つ違和感はなかったし、そこに在りし日のオアシスを投影する必要もなかった。フジロックで、スミス時代の楽曲を歌うジョニー・マーを観たときにも思ったが、彼らはとっくに過去の自分と折り合いを付けたのだろう。

最後はビートルズの「All You Need Is Love」をカヴァーし、「See you next year!」と言い残し去っていくノエル。このサイケデリックな快楽を覚えてしまった体が、来年まで待つことが出来るだろうか。とりあえず早く家に帰って『フー・ビルト・ザ・ムーン?』を聴き返そう。



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