ミュージシャンはどのように稼いでいるか? 複雑化する著作権ビジネス

ミュージシャンにとって最も儲かる場として急速に発展しているライヴ事業(Photo by Shutterstock)


楽曲の再生

音楽のクリエイターたちへ実際にリスナーが貢献する、最も一般的な方法をブレイクダウンしてみよう。iTunes、Google Play等のデジタル・ストアで楽曲が購入されると、売上の中からクリエイターたちへ作詞・作曲、サウンド・レコーディングの両著作権に基づき著作権料が支払われる。割合は、レーベルやディストリビューターの規模や、その両者の個別契約、或いは取引に関連する第三者の存在による。レーベルは効率を上げると同時にトラブルを避けるため、手数料を支払って一度に大量のライセンスを処理できる代理店を利用する場合もある。

オンデマンド・ストリーミングも同様である。また、スーパーマーケットや病院、或いはスタートアップ企業のウェブサイトのバックグラウンドで流れる楽曲など、ビジネスで利用する場合にも、同様の2つの著作権料が発生する。支払われる料率は、サービスのタイプや関連する組織の交渉力による。

映画、TV番組、CMに楽曲を使用する場合は、いわゆる“シンクロ権”が発生する。同権利には、コンテンツ・プロデューサーとパブリッシャー/ソングライターとの間で取り決められたライセンスも含まれる。同著作権料は事前に支払われ、ロイヤリティは、特定の映画やTV番組等が配給されたり放映された時点で支払いが行われる。シンクロ権によって儲かる可能性もある。ほとんどの映画製作者は使用する楽曲を、チャートのトップからではなく自分の好みで選択するため、埋もれた音楽が発掘されるチャンスでもあるからだ。

ラジオの場合は、大きく異なる。通常は総括的なビュッフェスタイルのライセンス形態で、料率はボリュームに応じて決定される。現行の著作権ルールでは、従来のラジオ放送(AM/FM)とインターネット・ラジオ(Pandora、SiriusXM、その他の衛星ラジオやウェブキャスター等)との間に明確な違いがある。従来のラジオ放送局は、サウンド・レコーディング著作権の所有者へ支払う必要はないが、インターネット・ラジオの場合は支払いの義務がある。この違いは、音楽業界の中で不公平な抜け穴として広く認知されている。電波に乗せて楽曲が流された場合、ソングライターに対しては支払われるものの、アーティストには一文にもならない。つまり、カウンティング・クロウズによる『ビッグ・イエロー・タクシー』のカヴァーバージョンがAM/FMラジオで流された場合、作詞・作曲したジョニ・ミッチェルにのみ支払いが発生し、バンドには何も支払われないことになる。

ライヴ・パフォーマンス

デジタル音楽時代におけるライヴ・イベントは、ミュージシャンにとって最も儲かる場として急速に発展している。ストリーミング・サービスにより配信される音楽へ安価にアクセスできるおかげで、音楽ファンはお気に入りのアーティストたちと、より近づきたいと思うようになっている。ツアーはより大規模になり、音楽フェスティバルはどれも似たようなラインナップであっても非常に多くの人が集まる。この状況に伴い、Live Nation等のコンサート&チケット企業の成長も著しい。

アルバム・セールスが次第に先細り、一度に少額を稼ぐストリーミングが唯一の収入源となる中、ツアー、フェスティバルや1回限りのコンサートなどのライヴ・チケットに、かつてないほどの高値が付いている。

広告宣伝

ポップやロックの全盛期、ミュージシャンたちは特定の企業ブランドと結びつくことを嫌ったものだが、ラップがアメリカで最もポピュラーなジャンルとして浮上すると、状況は変わってきた。ブランドとのパートナーシップにより、アーティストは自分の純粋なお気に入り(かもしれない)ブランドを支援・宣伝しながら、同時に別の収入源を得ることができるのだ。またミュージシャンが収入を得る別の方法としてYouTubeがある。YouTubeビデオにタグ付けされた広告収入を共有する形だ。Psyの『江南スタイル』は、YouTubeの視聴回数が20億に達し、200万ドル(約2億2000万円)を稼ぎ出したと言われている。YouTubeにおける音楽部門の責任者リオール・コーエンは、2017年に投稿したブログ記事の中で、米国におけるYouTubeの料率は1000ストリームあたり3ドルに達することを明らかにした。

Translated by Smokva Tokyo

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