アレサ・フランクリン、最後のインタビューでビヨンセ、女性の権利、未来について語る

彼女が一番気に入っているライブは?という質問に、デトロイト市長が「アレサ・フランクリン・デイ」と制定した1968年2月16日のデトロイトのコボ・ホールでのライブと答えたことについて。
「とんでもない夜だった!」とフランクリン。「キング牧師が会場にいて、父もいたの。アリーナに私たちが入場して、観客席から私たちが見えるようになった途端に、観客の大歓声が沸き起こった。天井が崩れ落ちるくらいのパワーだったわ。本当に信じられない光景だった」。

彼女はキング牧師の夢がまだ実現していないと思っていた。
「確かに大きな進展は遂げたけど、相変わらず数多くの偏見が残っている」と、フランクリンが述べた。「まだまだ解決しないといけないことがあるわね」と。

彼女はもしもに備えて他の仕事も考えていた。
「今の仕事が大好きよ。それに、みんなが私の歌い方を評価してくれて、私がこの仕事に費やしている時間と労力を称賛してくれている。この仕事以外はあり得ないと今でも思っているけど、かつてはプリマドンナや看護師になることを考えたの。アレサ・ナイチンゲールね!」。
彼女はビヨンセの愛情に応えた。
ビヨンセは、フランクリンがホスピスケアを受けていると公表されたとき、彼女がジェイ・Zと行ったデトロイトでのオン・ザ・ランII公演をフランクリンに捧げた。彼女たちは相思相愛だった。「私たちはお互いをとてもリスペクトしているの」と、フランクリンが説明した。「『ブーティリシャス/Bootylicious』のビートがとにかく好き。それに『I’m a Survivor(原題)』もね(フランクリンはキャリア後期にデスティニーズ・チャイルドの「サヴィイバー/Survivor」をカバーしている)。ビヨンセは本当に一生懸命働く女性よ。占星術的に見て、それがどれだけ本当かは別にしても、乙女座の彼女は、マイケル・ジャクソン同様に勤勉な頑張り屋さんなの。それにとても愉快な人。他のアーティストへの挨拶を欠かさないし、彼女はとにかくポジティヴなメッセージを発信していると思う。つまり、彼女のコンサートを観に行くと、その後に元気になるってことよ。それに、ビヨンセはフェミニスト問題についてもオープンに発言しているでしょ。これはいいことだと思うわ。彼女がそうすることで、問題が注目されると思うから」。

「人はみんな、仕事の対価として同等のお金を得るべきだし、もう少し多いほうがいいかもしれない。特に肉体的な負担の大きな仕事の場合、女性はもう少し多くの報酬をもらうべきよ」

発言が賃金格差問題に関する議論を刺激した。
「女性が(男性と)同じ仕事をすることになったら、(男性と)同じ金額をもらえない理由はなに? そういう仕事って、女性にとっては男性よりも大変なことがあるでしょ」とフランクリン。「人はみんな、仕事の対価として同等のお金を得るべきだし、もう少し多いほうがいいかもしれない。特に肉体的な負担の大きな仕事の場合、女性はもう少し多くの報酬をもらうべきよ。それが正しいと思うだけの良識があるのならね」。

彼女はアルバム1枚まるごと実演するコンサートを良いとは思っていなかった。
フランクリンはスティーヴィー・ワンダーの2014〜2015年のソングス・イン・ザ・キー・オブ・ライフ・ツアーの話題が出たとき、ちょうどロバート・デニーロ・トリビュートでのワンダーのパフォーマンスをべた褒めしている最中だった。このツアーでワンダーは1976年リリースのアルバムをまるごと1枚再現していたのである。「あれはいいことだとは思えないわね」と、フランクリンが言った。「私ならやらない。彼は上手くできるかもしれないけど、ファンの好みの曲って、それぞれ違うと思うの。それに彼らはできるだけ多く自分の好きな曲を聞きたいはず。だから、アルバム収録全曲を演奏してその晩のライブを終えるなんてリスクは犯したくないわね」。

Translated by Miki Nakayama

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