[ALEXANDROS]ライブレポ「孤高に生きるロックスターが、3万5000人と作り上げた熱狂空間」

2018年8月16日、ZOZOマリンスタジアムで開催された『VIP PARTY 2018』(Photo by AZUSA TAKADA)

ロックスターの条件とはなんなのだろう。生き急ぐこと、革ジャンが似合うこと、ヒリヒリした音楽をすること。各々で思う条件はあるだろうが、ひとつだけ間違いないと思っていることがある。それは「憧れられる対象であること」だ。

2018年8月16日、ZOZOマリンスタジアムには、モノクロのファッションに身を包んだ男女で溢れた。男性の場合、多くはマッシュにメッシュといった具合で、とあるバンドのヴォーカルをそのままトレースした出で立ちだ。そのバンドこそ[ALEXANDROS]、3万5000人を動員した『VIP PARTY 2018』の首謀者である。

開演前のスタジアムに流されたのは、ザ・ブラック・キーズの「Lonely Boy」やブラック・サバスの「War Pigs」。それはまるで、「[ALEXANDROS]は往年のロックスターに並ぶ存在になるのだ」と暗喩しているようだった。

ステージバックが消え、ストリングスチーム“村田一族”のハーモニーが響きわたり、ステージには庄村聡泰(Dr)、磯部寛之(Ba, Cho)、白井眞輝(Gt)とメンバーが集結。壮大なシンフォニックアレンジの「ワタリドリ」を響かせる。同じように川上洋平(Vo, Gt)もステージ上から登場するかと思われたが、スタジアム後方から現れるというサプライズ。ステージに到着すると「行くぞ、ZOZOマリン!」という川上のシャウトとともに、あらためて「ワタリドリ」を演奏し、1曲目にも関わらず盛大なシンガロンが響わたる。さあ、パーティの始まりだ。

空気をひと段落するかのようにステージ上をスモークが埋め尽くし、スクリーンには歴代の『VIP PARTY』の映像が流され、「R U READY?」の文字に溢れんばかりの歓声がわいた。赤い照明が鋭く夕暮れ空を刺すなか、ギターのアルペジオが連れてきたのは「For Freedom」だ。低音を基軸にした白井のギターソロは、既に絶好調。続く「city」は庄村のメリハリあるフィルインが会場にスカッと響いた。東京、大阪、名古屋と刻んできた『VIP PARTY』。千葉が新たな“街”として刻まれる瞬間に立ち会っているのは、歴史の証人になっているようでとても誇らしい。


Photo by 山川哲夫

甘くけだるく<MEOW MEOW>と歌う川上に悩殺される「Cat 2」、磯部のジャジーなベースソロが魅せる「Waitress, Waitress!」と続く。川上のバッキングでスタートしたのは「spy」だ。透明感ある歌声と、オーケストラのハーモニーが壮大で<我が人生に悔いはない>というリリックが力強く刻み込まれた。「Forever Young」では、<Stay together>の言葉が力を持って迫りくる。ファンと一緒に確実に一歩一歩の歩みを進んできた、その事実を歌詞の重みから感じずにはいられなかった。ギターのカッティングが心地よく響いたのは、ライブチューンとして人気の高い「Starrrrrrr」。ZOZOマリンスタジアムという大きな船が飛び跳ねるCREWによって上下に揺れ、会場一丸となってパーティが作りあげられていった。


Photo by AZUSA TAKADA

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