チャンス・ザ・ラッパー、インディペンデントにこだわる理由「金が欲しい時はツアーで稼ぐ」

8月18日(土)大阪、19日(日)東京のサマーソニックに出演するチャンス・ザ・ラッパー(Photo by Kathy Hutchins / Shutterstock)

今週末に迫ったサマーソニック。最注目のアクト、チャンス・ザ・ラッパーが2013年に応じたローリングストーン独占インタビュー記事をお届けする。

チャンス・ザ・ラッパーにとって、ここまでは素晴らしい1年だ。ヒップホップのミックステープ豊作といわれる今年、シカゴ生まれの20歳のMC(本名はチャンセラー・ベネット)は、そのなかでもずば抜けた『Acid Rap』を4月に発表した。リル・ウェインやビッグ・ボーイらを虜にし、エミネムやケンドリック・ラマー、マックルモア&ライアン・ルイスらとツアーで共演するきっかけを与えた、サイケデリックでジャジーな1本だ。

今回、ツアーの合間に貴重なオフを満喫中のチャンス・ザ・ラッパーにインタビュー取材を行った。場所はシカゴのIHOP(ファミリーレストラン・チェーン店)。あつあつのチキンとワッフルが載ったプレートを囲みながら、メガヒット級の成功について、狂乱のロラパルーザ凱旋パフォーマンスについて、さらに『Acid Rap』に続く次回作の予定について直撃した。

ー『Acid Rap』の発表後ほぼノンストップでツアーに出ていたので、今回はほっと一息といったところでしょうね。

そうだね、めっちゃ忙しかったな。ちょうど昨日『Black Dynamite』ってのをやったんだ。ここ最近でいちばん大笑いしたよ! あいつはマジで面白かった。

ーどういうことですか?

『Blacck Dynamite』(カートゥーンネットワークの大人向けアニメ番組)の吹き替えをやったのさ。俺はボブ・マーリーの役でね。昨日サウンドスケープのスタジオに行って、台本読みと読み合わせをやったんだ。ボブ・マーリーの役だから、ちゃんとリサーチしていこうと思ってたんだけど、結局やれなくて、何の準備もせずに行くことになってさ。あのエピソードは爆笑だと思うよ。台詞もバッチリ覚えて、よし大丈夫だと思ったんだけどさ、ヤツらの台詞がいちいちおかしくて笑っちゃうんだよね。(歌う)「どんな些細なことも……きっとオーライさ♪」。プロの声優が俺の吹き替えを聴いたら、大爆笑するだろうな。「おいおい、こいつは素人丸出しだな」って!

ー『Acid Rap』の発表から長い道のりでしたか?

いや、あっという間だったね。毎日が仕事モード。口で説明するのは難しいんだけどさ。毎日ずっと仕事してるだろ、すると3カ月後にまた一から同じことを繰り返すんだけど、前ほどつらくはない。前にやったのと同じだって分かるからね。

ー人気が上がっているのは感じますか?

当然。いつも感じてるよ。だけど……突如訪れた名声にのぼせたり、まるきり別人に変わるとか、そういう感じじゃなくて、名声がいかに儚くて、上辺だけのものなのか実感した、ってことさ。単純にとらえ方の問題だけどね。俺にとっては、名声は表面的なもの。たしかに現実に起きてることなんだけど、影響されてるのは周りの人々なんだよ。名声と呼ぶか、成功と呼ぶかはともかくーーすべては集団心理の産物さ。

ー最近はヨーロッパ・ツアーでしたね。ソロ公演に加え、エミネムやケンドリック・ラマーのオープニングアクト、そして現在はマックルモア&ライアン・ルイスのツアーに同行。

ああ、不思議なもんだね。今回が初ヨーロッパなんだ。

ーヨーロッパをツアー中、どんな経験をしましたか?

ツアーの予算はかなり限られてたんだ。そしてついに無一文。あっちにいる間に、デビットカードも携帯電話も失くしちゃってさ。病気にもかかるし。本当さんざんだよ。予想外のことばっかりさ。初めての国、初めての土地では、これまでの常識がまったく役に立たないんだ。マジでクレイジーな経験だったよ。

Translated by Akiko Kato

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