カメラマン岸田哲平が見たサマーソニックの「ベストシーン」

2005年のナイン・インチ・ネイルズ(©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved)

90年代から国内外のアーティストを撮り続け、その躍動感と臨場感溢れる写真はもちろん、人懐っこいキャラクターで被写体からも愛されるライブカメラマン、TEPPEIこと岸田哲平。2000年からスタートし、洋楽ロックのみならずJ-POPやアイドル、お笑い芸人まで出演する“ごった煮”なラインナップで常に話題を集める都市型フェス、サマーソニックを初回から目撃してきた岸田に、その歴史的名場面を彼の写真とともに振り返ってもらった。

─サマーソニックは初回からカメラマンとして参加しているんですよね?

岸田:はい。基本的には『rockin’on』からの依頼で入っています。初回はビリー・ジョー・アームストロング(グリーンデイ)に、ライブ中カメラを奪い取られたのが忘れられません(笑)。そのカメラで僕を撮影しているビリーのことを、予備で持っていたもう1台のカメラで押さえました(笑)。「ビリー、ゴキゲンで俺のこと撮ってるけど、あのカメラ露出設定大丈夫だったかな、ちゃんと撮れてるかな……」って心配しながら。

─(笑)。他に印象に残っているのは?

岸田:やはり2003年のレディオヘッドですね。あのときは確かレーベルからの依頼だったのかな。アタマ3曲だけ撮って、その後は袖でライブを観てたんですけど、「クリープ」やられたときは、うれしかったのと同時に悔しかった。「ちきしょう、撮りたかったな」って(笑)。


2003年のレディオヘッド(©︎SUMMER SONIC All Rights Reserved)

2005年にナイン・インチ・ネイルズがやっと来たときもうれしかったですね。NINは変わってて、撮影許可が3曲目から3曲とかなんですよ。それで観ていて、イントロはいつもの感じで照明がバーンとなったときに、トレント・レズナーがすげえ短髪になってて。「誰?」って思いました(笑)。ショック受けながら撮ったのがこの写真。GIジョーみたいだなって。もう慣れましたけどね。「The Perfect Drug」や『The Downward Spiral』の時は髪の毛も長かったし、あんなマッチョじゃなかったから。それ、先輩カメラマンの畔柳ユキさんに話したら、「昔から筋肉質だったじゃん」とか言われて。「そうですかねえ」みたいな。撮影しながら、そんなやり取りもしています。

─フェスはカメラマンにとって交流の場でもあるのですね。

岸田:ユキさんとは「アタマ3曲」と言いつつ繋がっている曲とか、「今、これ2曲目?」「いや、まだ1曲目じゃね?」みたいなやり取りをしたり(笑)、気づかないふりして4曲目まで撮ったりね(笑)。逆に、全曲OKと聞いていたのにいきなりツアーマネージャーが飛んで来て「もう終わりだ」って言われることもあるので、毎回そういうハラハラ感はありますね。

撮れずに観るだけだったアーティストは、フジロックよりサマソニの方が多いかも。2002年のガンズとか撮影NGだったから客として観ていました。あと、2010年のスティーヴィー・ワンダーの年はROCK IN JAPAN FESTIVALが被ってしまって。『rockin’on』でサマソニも入ってるけど、ロッキンやるならそっちへ行くしかないって。スティーヴィー・ワンダーはちょっと観たかったな。そういうスケジュールでどうしようもないときってありますよね。

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