ベックのキーボーディスト、ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.が語る「盟友との制作秘話」

ーあなたが最後にソロ・アルバムを発表してから今に至る10年の間、何かライフスタイルに変化はありましたか? それによって音楽に影響はありました?

21年間共に過ごしたガールフレンドと別れた後にローレルという女性と付き合い始め、婚約したんだ。 そうして自己実現と精神性を追求する旅に出たのさ。これには非常に骨が折れ、時間を要したけれど、音楽を離れて遠回りすることで、今では自分がとても良い状態にいると言えるよ。もちろん、ここ10年間、途切れずに音楽に関わり続けてきたけど、音楽以外のことに時間を費やすことにより、アウトプット(作品)が減ったことは認めざるを得ない。

しかし、僕に降りかかった出来事が、僕の作る音楽に良い影響となったのも確かだね。人生がどんなに貴重で短いものなのか、クリエイティブな面での充足感が精神と感情をヘルシーに保つためにどれだけ大きな意味を持つのかということを、これらの体験が思い出させてくれたんだ。

ープレッジ・ミュージックで公開していた最新のプロモーション映像「Glamping」は、広大な野原であなたが犬と戯れているという内容で意外でした。

プレッジ・ミュージックのプロモビデオは、カリフォルニアのレイク・タホで、弟のティムが撮影した。弟は熟練したアクション映画のシネマトグラファーで、レイク・タホ在住なんだ。犬は弟の愛犬のダーウィン。

子ども時代の幸せな思い出なんだけど、両親によく「グランピング」(グラマラス=「魅惑的な」とキャンピングを掛け合わせた造語。自然を楽しみながら贅沢なもてなしを受ける新しいキャンプスタイル)に連れて行ってもらった。その頃グランピングという言葉は無かったけどね。今や自然のある場所に出かけるのは5年に一度というところかな。もっと頻繁に自然に触れたいものだけど、多忙なミュージシャンとしては都会に身を置かざるを得ないんだ。

ー表題曲を含むEP『Glamping」のインスピレーションの源となったのは何ですか?

これらの4曲は、30年に渡る僕のソングライターとしての日々の中で、それぞれを別の時期に書いた。なかには学生時代に書いた曲もある。僕が曲を書きたくなるのは、気持ちが満たされて、人生を祝福したいハッピーな気分のときで、そういうときはアイデアが僕の意識の表層まで浮かび上がってくるんだ。それを掴まえて、最初のコンセプトに発展させ、ピアノやギターを鳴らしてみて、打ち込みでラフなデモを録音する。もしアイデアが数カ月や数年間、心や頭の中にあり続ける場合、純粋な興奮を持って磨き続けるんだ。

インスピレーション源ってところでいうと、僕にとっての音楽のヒーローたちの伝統を受け継いだ、一緒に歌える古典的なポップソングを作りたいという気持ちが、何よりも創作意欲を掻き立ててくれるよ。僕の憧れのヒーローたちと同じく、シンプルでストレートな構成の曲を、背景画を描くような感覚で、プロデュースしたりアレンジすることを楽しんでいる。

SUMMER SONIC 2018
期間 : 2018年8月18日(土)、19日(日)
会場 :TOKYO=ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
OSAKA=舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
※ベックはOSAKA=18日(土)、TOKYO=19日(日)に出演
http://www.summersonic.com/2018/






Translated by Kyoko Ueno

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