カリフォルニア州最大の山火事、嗜好用マリファナ業界に大打撃

山火事で燃えた大麻。2015年9月に起こった火災時の写真 (Photo by David McNew/Getty Images)

カリフォルニア州史上最大の山火事が、同州で急成長中の嗜好用大麻業界に打撃を与えている。

カリフォルニア州で立て続けに発生した山火事が約5300平方キロメートルを焼失してから1年足らず。米国の黄金の州は再び炎に包まれている。さらに、今回の山火事は史上最速で燃え広がり、これまでの焼失面積は史上最大だ。この山火事は、去年に続いて今年も自宅からの避難を余儀なくされた住民たちに衝撃と動揺を与えている。そして、最低でも16カ所で同時に起きている大きな火災の延焼を止めようと、1万4000人の消防士が日夜消火作業を続ける一方で、一刻も早く雨が降ることを祈っているのが同州のマリファナ農家たちだ。

カリフォルニア州では2016年に嗜好用マリファナが合法化され、2017年の後半から施行された。これが契機となってマリファナ産業に好景気をもたらしたが、母なる大地はマリファナ反対派の政治家より強力な敵であると、今回の山火事で証明した形になる。California Growers Associationによると2017年のカリフォリニア州の山火事で被害を受けたマリファナ農家は最高で全体の30〜40%だったと、ローリングストーン誌が昨年報じた。しかし、当時の嗜好用マリファナ業界はまだ初期段階で、その後の数カ月で急速に成長したのである。マリファナ農家の多くはカリフォルニア州でも最も乾燥した地域で栽培をおこなっており、そこは日照り続き、極暑、サンタ・アナの強風によって簡単に自然発火が発生する環境だ。

クリア湖周辺の農場火災と河川火災の二つの火元から発生した、関係者がメンドシノ・コンプレックス火災と呼ぶ今回の山火事は、たった数日間でカリフォルニア州史上最悪の山火事となった。これ以前の同州最大の山火事は2017年のサンタ・バーバラとベンチュラ郡をまたいだトーマス火災だった。ありがたいことに現時点で死者は一人も出ていないが、これまで約1150平方キロメートルが燃え尽くされ、住宅75軒が焼失した。そして、週末にかけて警察はナイス在住の3人の男を、マリファナへの放水と自宅退去を拒否して消火活動を妨害した罪で逮捕している。

7月にラス・プラマス郡のメンドシノ東部にあるグリーンビルで発生した巨大な山火事は、カリフォルニア州で最も需要の高いプレミアムハーブを栽培している温室8カ所を炎に包み、そのうち5カ所が壊滅的な状況となった。「タープ・タウン」という愛称で知られるこの農場は、グリーンビル最大の事業主ラウドパックが運営しており、カリフォルニア州の多数の薬局や診療所にマリファナを卸している。この農場で働く300人の従業員は全員無事だが、タープ・タウンは現在も山火事による損失額を査定している最中だ。

さらに、7月下旬には、シャスタ郡のレディング北西にあるエイリアンラブスが運営する複数の建物が、現在も延焼中のカー火災(carr fire)で焼き尽くされている。エイリアンラブスも大規模なマリファナ農場で、これまでに焼失した広さは約700平方キロメートルだ。しかし、今回の山火事を最大と決めるにはまだ時期尚早だろう。2017年の最大の山火事が発生したのは11月と12月で、これが州の新記録となった。そして2018年の夏、既に過去の記録を破る山火事が発生しており、住民にとっても、創業したばかりのマリファナ業界にとっても、昨年以上の悲劇が待ち受けているようである。

Translated by Miki Nakayama

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