indigo la End 川谷絵音が選んだ5曲と「オリジナリティ」をめぐる話

-それがいいですよね。

川谷:今のインディゴのファンの多くがリミックスを求めてないっていうのもわかってはいるんです。でも、音楽って何が入口になるかわかんないじゃないですか? 俺も最初はレディオヘッドの「Paranoid Android」を聴いて、「何これ?」ってなったけど、でもだんだん好きになった。別にファンの音楽教育をしたいわけじゃないけど、リミックスとかを聴いて、ハマる人がいればいいなって。俺ら恋愛の曲が多いから、湿ってる女の子のファン多いじゃないですか?

-アハハ(笑)。

川谷:でも、みんな知らず知らずのうちにわりとエグ目のアレンジを聴いてて、それを許容してるってことは、素養はあるわけで。だったら、もっと攻めてみようかなって。“THE恋愛の曲”みたいな「雫に恋して」がこんな全然違うアレンジになって、でもそれをかっこいいと思ったら、いい入口になるんじゃないかなって。

-前作のリリース時の取材で「ミックスCDっぽい」っていう話が出てたと思うんですけど、今に置き換えると「プレイリストっぽい」とも言えると思うんですよね。今回のインディゴのアルバムもいろんな入口があって、いろんな発見ができるアルバムだなって。

川谷:アルバムの曲順を全然考えてないわけじゃないですけど、みんなストリーミングで曲順関係なく聴くようになって、曲順の重要性が前ほどはなくなってきましたよね。俺ももうほとんどストリーミングかレコードしか聴かないですけど、日本はまだストリーミングで聴くことが美しくない感じになってるじゃないですか? それが俺には謎で、「CDで聴いたほうがいい」って、言ってることはもちろんわかるけど、でも実際にはそういう人たちが音楽の成長を止めてると思うんですよ。語弊を避けるために言っておくと、CDにはCDの良さがあることはわかった上でね。だからそれこそ宇多田ヒカルさんみたいな影響力もアーティスト力もある人にストリーミングやってほしいなぁと。

-トップランナーと呼ばれる人がね。

川谷:米津(玄師)もやってないし。バブル期の人がまだレコード会社にいて、考えの根本にお金があるのが原因だと思うんですけど、音楽の単価が安くなるのはしょうがないことで、時代に逆らおうとするから変なことになってる。ストリーミングによって音楽との出会いが増えるわけだし、音楽好きにとっても、ミュージシャンにとってもいいと思うんですけどね。

-作ったものがすぐに発表できるっていうのは、ミュージシャンにとっても利点なのは間違いないでしょうね。

川谷:俺はよくPitchforkのプレイリストとか聴いてるんですけど、めっちゃ便利じゃないですか? 今来てるものが……あれも偏ってますけど(笑)、でもありがたいし、ああいうのはいいなって思います。

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