ザ・ビーチ・ボーイズのメンバー、ラジオ公開収録で語った5つの逸話

2. ビートルズとの好機を逃す

女性ファンが立ち上がって、実現できなかったコラボレーションでビーチ・ボーイズが今でも後悔しているものはあるかと聞いた。「ああ、あるよ。ビートルズだ」とジャーディン。「彼らと一緒にコラボレーションすると思っていた。60年代にジョン(・レノン)とジョージ(・ハリソン)が、私が滞在していたロンドンのホテルの部屋にやってきた。私たちはパリ公演に向かう途中で、ジョンとジョージが音楽の話をしにホテルに来たと思ったんだ。何か一緒にやるんだと思った。でも、彼らは超越瞑想のやり方を教えに来ただけだった」。

ここでライナーが「で、結局、瞑想を覚えちゃったってことですね」と言った。



7月30日にイベントに出演した、ビーチ・ボーイズ。左から、ブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、マイク・ラヴ、デヴィッド・マークス、ブルース・ジョンストン。

3. サーフィンはしない

年配の男性ファンが立ち上がって質問しようとした途端、ライナーが突然、言葉を挟んだ。「あなたはすぐにでもサーフィンに行けそうな雰囲気ですね。どうして、ここの皆さんはハワイアンシャツを着ているのですか? このあと『ココモ』でもやるんですか?」と。

これに続いたのは当然メンバーのサーフィン・スキルに関する質問だ。ドラマーだった故デニス・ウィルソンだけがバンドで唯一本物のサーファーだったことは有名である。

「アルがサーフボードを持っていたのを思い出した」と、ラヴ。「でも、サーフィンそのものよりもサーフィンについて歌うほうが得意だったからね」。

そして、ラヴの横に座っていたマークスが「海底に顔を突っ込むのなんて、やりたいヤツはいないよ」と付け加えた。

すかさずライナーが「デヴィッド、あなたはユダヤ人?」と切り替えした。

「ああ、うん、私は……水が嫌い? もともとの歌詞は『サーフィン・セファルディック』だった」と言って、彼は笑い出した。「とは言え、私はイタリア人の血が一番濃い。デニスに誘われてサーフィンに行ったけど、私は上手じゃなかった。でも、行くと女の子たちがいるから、しばらく続けたよ」。(※セファルディックとはスペイン、ポルトガル、北アフリカのユダヤ人のこと)

4. ブライアンが曲作りの秘密を明かす

ライナーに曲作りのプロセスをたずねられたウィルソンは、何時間もピアノに向かって作ると答えた。「コードをいくつもプレイして、何度もプレイして、繰り返しプレイして、永遠にプレイしているって感じでやっていると、突然メロディが生まれてくるんだよ」と、ウィルソンが説明した。

そこにラヴが付け加えた。「ビーチ・ボーイズの音楽の特徴の一つが、たぶんブライアンが双子座ってことも関係していると思うけど、どの曲も前の曲と異なるってことだ。前のシングルの焼き直しじゃない。これがビーチ・ボーイズの音楽の素晴らしさだよ。つまり、多様性だね。リード・シンガーも違う、テンポも違う、キーも違う、アレンジも違う、コード進行も違う。ブライアンほどのコード進行の達人は他にいなかった。ハーモニーもブライアンが一番だった。私たちはザ・フォー・フレッシュメンを研究していた。彼らの音楽はかなり複雑だったが、それをロックンロールとブレンドしたのが私たちだ」と。

5. 今でも調和している

Q&Aセッションも中盤に差し掛かった頃、観客に新しいオーケストラ・バージョンの「グッド・バイブレーション」が流された。ハーモニーが始まった途端、ジャーディンが親指を上げて「いいね!」をし、ラヴがピース・サインを掲げた。

ジョンストンは持っていたマイクを指揮棒のように振って、ファンに一緒に歌うように促した。そして、「最初にこの曲を聞いたとき、この曲が1位になる予感があったよ。そうならなきゃ、このバンドは解散だって思ったね」と、1966年にこのシングルがリリースされた当時のことを語った。

Translated by Miki Nakayama

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