ザ・ビーチ・ボーイズのメンバー、ラジオ公開収録で語った5つの逸話

1996年にアンティーク車の前でポーズをとる「ザ・ビーチ・ボーイズ」。左から、ブルース・ジョンストン、カール・ウィルソン、マイク・ラヴ、ブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、デニス・ウィルソン(Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

2012年の50周年記念ツアー以来、初めてザ・ビーチ・ボーイズのクラシック・メンバーが顔を合わせた。「集まるのはとても素晴らしいよ」とシンガーのマイク・ラヴが、かつて彼らの大ヒット曲が生まれたキャピタル・レコードで行われたイベントで語った。

2012年以来初めて(生存する)クラシック・メンバーが揃ったザ・ビーチ・ボーイズ。彼らは7月30日、SiriusXMのQ&Aセッションのために再召集した。ハリウッドのランドマークでもあるキャピタル・レコードのスタジオA内で横並びに座ったメンバーたちは、50年前にここでバンド初期の楽曲を作っていた。

後に、白いガイゼルひげを弄びながら「ブライアンと私はかなり根源的な部分でつながっている」と、マイク・ラヴがローリングストーン誌に語った。「ブライアンは自分のバンドをやっている。私たちもそうだ。普段はそれぞれが違う軌道を回っているのだが、こうやって集まるのはとても素晴らしいよ」と。

この穏やかな雰囲気を司るのは映画監督のロブ・ライナーで(映画『スパイナル・タップ』でライナーが演じたインタビュアーを彷彿させる)、招待された少人数のファンからの質問をブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、マイク・ラヴ、デヴィッド・マークス、ブルース・ジョンストンに振り分けている。白いハイバックチェアに腰掛けたメンバーは全員、明るくリラックスした雰囲気だ。この約1時間のインタビューは米国現地時間8月10日にサテライト・ネットワークSiriusXMのビーチ・ボーイズ・チャンネルで放送予定である。同番組では彼らの新作『ビーチ・ボーイズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団』のプロモーションも行う。これはビーチ・ボーイズのヒット曲のオリジナル・ボーカル・トラックと新たなオーケストラ・アレンジを組み合わせた作品である。

メンバー全員が揃って公の場に登場したのは、ビーチ・ボーイズの50周年記念ツアー以来初だ。その50周年記念ツアーでさえも結末は苦いもので、最終日のロンドン公演終了後にラヴがバンド後期のメンバーだけで活動継続を発表し、ウィルソン、マークス、ジャーディンを除け者にした形になった。これがバンドの50年の歴史の中で起きた最後のエピソードだった。ラヴが手紙で「バンドを1年休ませたらどうだ」と言い出したことが、バンド設立メンバーたちとファンの逆鱗に触れたのである。それから数年間、再結成ライブは一度も実現しなかった。「私はがっかりしているし、彼がアル、デヴィッド、私と一緒にツアーしたくない理由が理解できない」と、ツアー後に出された声明でブライアンが述べていた。「ツアー中は本当に楽しかった。結局、私たちが本当のビーチ・ボーイズってことだ」と。

しかし、ビーチ・ボーイズ物語が永遠に終わりを告げると思われたそのとき、彼らはもう一度再結成する方法を見つけたのである。それがたった1時間のプロモーション活動であっても再結成は再結成だ。キャピトルに集まったメンバーたちには緊張感や違和感はまったくないものの、現在進行中のメンバー間の派閥は視覚的にわかりやすいものなっていた。つまり、ラヴ、マークス、ジョンストンはお揃いのストライプのシャツを着用しており、一方のウィルソンとジャーディンはカジュアルな服装で登場したのだ。何よりも重要なことは、7月30日のイベントでは今後のコラボレーション計画は発表されなかったが、ローリングストーン誌の取材に応えたラヴは「絶対にないとは一度も言っていないよ」と語ったことである。

この夜、ビーチ・ボーイズの最初の10年間に生まれたヒット曲や画期的なアルバムに関するお馴染みの逸話がたくさん出たが、その最中にメンバー同士がその逸話を嬉しそうに共有しながらジョークを飛ばす瞬間がたくさんあった。その中の最高の瞬間を5つ紹介しよう。

1. マークス・ザ・スポット
イベントが始まってすぐにライナーは、もともと1962〜63年に在籍していたギタリストのマークスに、どんなきっかけでバンドに入ったのかをたずねた。「デニス、カール、ブライアン・ウィルソンの家があった通りの反対側に7歳のときに引っ越した」がマークスの答えだった。

ライナーは「そのこころは、ロケーション、ロケーション、ロケーションっことでしょうか?」と、マークスに聞き返した。

「その通り。私は一人っ子だったから、いつも彼らと一緒に遊んでいた」とマークスが言った。「そしたら、ある日、ブライアンがカール(・ウィルソン)と私に……『サーファー・ガール』をプレイさせた」と。

Translated by Miki Nakayama

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