フジロック現地取材「ケイシー・マスグレイヴスが証言、カントリー音楽はLGBTQを受け入れつつある」

ーあなたの代表曲である、「フォロー・ユア・アロウ」の歌詞も素敵ですよね。あの曲にはどういう思いが込められているのでしょう?

伝統的なカントリーの音楽に合わせて、勇気をもつことの重要さ、「あなたがやりたいことをすべき」というメッセージを込めた楽曲なの。でも、今日この曲を歌ったんだけど、“Roll up the joint”(マリファナを巻いて吸う)という歌詞は、日本ではやってはいけないことなのね(笑)。みなさん、やっちゃダメよ!

ーこの曲には、「男の子も女の子もたくさんキスをしよう もしそれで夢中になれるなら」という一節がありますよね。あなたはLGBTQアイコンとしても支持を集めているわけですが、ジェンダーやマイノリティについて歌うのは、自分にとって重要なテーマだと言えそうですか?

ええ、時にはそういった人々のほうを向いて歌うこともある。基本的に、私はいろんな人たちに自分の歌を届けたいの。LGBTQであろうと、そうでなかろうと、人間はみんな同じように感情を持っていて、同じように愛を感じ、寂しさを感じ、自由に好きな人を選ぶ権利を持つべきだと思うし……そういったことからとてもインスピレーションを受けている。

ーなるほど。

私が生まれたテキサスは、そういった人々にとって住みにくい場所ではあるんだけど、カントリーミュージックは徐々にLGBTQを受け入れる体制になりつつあるのよね。私にとって、実際にある人生を歌うのはとても重要なことで、カントリーミュージックはそうあるべきだと信じているわ。

ーここ日本では、政治家が「LGBTQは生産性がない」と発言して物議を醸しています。

それは間違っていると思うわ。ストレートでも生産性がない人だっていると思うし、LGBTQとかそういうのは関係ないと思う。

ーあなたの人生にとって、もっとも重要なルールはなんですか?

そもそもルールに従うのが苦手なんだけど(笑)。何かしらね……自分らしくあること、自分に嘘をつかないこと。何か思うことがあれば、それをきちんと発信すること。なぜなら、人生は一度きりだし、自分のことを一番わかっているのは自分自身だから。自分の主張したいことがあって、他の誰かを傷つけるものではないのであれば、それを貫くべきだと思うわ。

ー最後にフジロックにまつわる質問です。ボブ・ディランとケンドリック・ラマーだったら、どちらにより共感しますか?

えー、「ケンドリック・ディラン」じゃダメ? それか「ボブ・ラマー」とか(笑)。二人とも自分の意志があって、それぞれの政治観念をもっていて、恐れることなく物議を醸していたり……とにかく、それぞれが信じることを貫いている。その姿こそ本当のアーティストだと、私は思うわ。

ー自分がフェスを主催するとしたら、どのアーティストを呼びたいですか?

いい質問ね。まず、今日私のステージに立ってくれた着物ダンサーズでしょ。それからドリー・パートンに……亡くなってしまったアーティストでもOK? だったらエルヴィス、グレン・キャンベル、あとは誰かしら。私でしょ、ウィリー・ネルソン、サイモン&ガーファンクル、ビージース、シャーデー、ニール・ヤング……それにブリトニー・スピアーズ!

ー宮﨑駿はどうです?

そうね、ハヤオ・ミヤザキ! 私が歌っている間に絵を描いてくれないかしら。あとはもちろんトトロもね!



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