不屈のエース・棚橋弘至がサンフランシスコで見た現実

ーサンフランシスコのお客さんの熱量と盛り上がり方を見ると、日本にいるときと変わらないですよね。海外で「今」の新日本プロレスが普通に受け入れられているんだなと実感しました。

棚橋 新日本のオリジナルのスタイルが海外の人たちにもそのまま届くんですよ。動画配信もあって時代の変化にうまく対応しているし、時流に乗ることができた。1990年代、2000年代のときとはぜんぜん違います。当時はターゲット層も海外にいる日本人の方だった。これまでプロレスを盛り上げたい、東京ドームを常に満員にしたい!というイメージを持って活動してきましたけど、海外で6,000人以上の現地のお客さんが足を運んでくれて、会場が一体となって盛り上がるという未来は想像してなかったです。自分が思い描いていた未来を超えてきました(笑)。


Photo by OGATA

ー海外の人たちが受け入れてくれた新日本プロレスの「オリジナル」の部分って、それこそ棚橋さんが礎を築いてきたとも言えますよね。それが今こうして結果として形になっているのはうれしいと思うんですけど、選手という立場からしたらもっと中心にいたいとか目立ちたいとか、そういう気持ちはあるんじゃないですか。


棚橋 今もあります。今日だって第3試合ですからね。この後、何試合あるんだってことですよ。テレビ中継の解説の方もいろんなメディアの方も「新日本プロレスを立て直してくれて、ありがとうございました。大変でしたね」という切り口で自分のことを評価してくれている部分があって、それはとてもうれしいことなんですけど、自分からすると産卵を終えたシャケのような気分なんですよ。「立て直してくれてご苦労様でした。あとは大丈夫だからね」って言われてるような。

僕からすると、これだけの舞台を作るために今まで頑張ってきたんだから、まだまだ終わらないぞ!という気持ちです。もちろん、新日本プロレスを立て直したという評価を受け取った上で、まだ先があるということを見せたいです。

ーアメリカのファンもそこは分かってくれているんじゃないですか。

棚橋 いや、日本での戦いと海外での戦いはタイムラグなく伝わるので、今だったらケニー、内藤、オカダがベルトに絡んでいて、棚橋はその下だっていうのもファンは分かってるんですよ。だから日本でベルトに絡まないと、海外での見方も変わらない。まずはベルトです。


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ー単なる功労者ではなく、今も最前線にいたいと。


棚橋 はい。過去完了形じゃなく、現在進行形でいたい。でもそれはね、責任は僕にあるんですよ。ネクストを見せられていない。だから過去の頑張りを評価するしかないプロレスラーになってしまっている。そういう見方はやめてくれよっていうのは、僕のお門違いなわけで……だから今こうして話して冷静に自己分析できました。自分次第ですね(笑)。

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