1994年のビリー・コーガン「疎外感はない。みんなが何百万枚もレコードを売る時代だから」

1994年5月22日、オランダのランドグラーフで行われたピンクポップでパフォーマンスするスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン(Photo by Frans Schellekens/Redferns)

今から25年前、1993年7月27日はスマッシング・パンプキンズ『サイアミーズ・ドリーム』がリリースされた日だ。ここでは94年のローリングストーンに掲載されたビリー・コーガンのインタビューをお届けする。

ビリー・コーガンは2年ぶりの休暇を楽しんでいる。ほんの1週間前、彼のバンド、スマッシング・パンプキンズは14カ月に及んだツアーのあと、ロラパルーザでヘッドライナーを務めたばかりだ。現在、彼はパンプキンズの次のアルバムを計画している。2枚組アルバムになる予定で、『サイアミーズ・ドリーム』を即買いしたファンが大喜びする作品になるだろう。そして、パンプキンズを70年代の派手な模造品とみなす口汚い連中を刺激することだろう。コーガンは人懐こく、利口で、矛盾している。彼はロックが大嫌いで、ロックが大好きだ。彼にとってファンがすべてだが、ファンは自分を理解していないと言う。取材の3日後、コーガンは電話してきた。「ずっと考えていたんだけど、君にありがとうと言うのを忘れてた。いつも忘れちゃうんだよ」。そして一瞬の間があって、「今年は本当に最高の年だったよ」と。

―今でもバンドは健在ですか?

正直に言うと、ここ一年くらいは深刻な状況に陥っていない。「誰が俺の水を盗んだ?」的な小競り合いはあっても、感情的な怒鳴り合いは一切ないよ。ロラパルーザのトリを務めている最中に、僕は「みんなが一緒にいて、本当に、本当にうれしい」って思った。けっこう感極まったよ。

―ロラパルーザに続けて出演して、音楽コミュニティの一員になった気がしましたか? それとも相変わらず疎外感を覚えたとか?

実際はそんな感覚、どんどん軽減してきた。なあ、もう1994年だよ。みんなが何百万枚もレコードを売っている時代だ。みんながビデオを作っている時代だぜ。品位の定義なんて本当に曖昧なんだから。

―1991年頃に状況が劇的に変わって……

状況の変化はニルヴァーナ以前とニルヴァーナ後で判断できるよ。少なくとも僕の世代と同年代の同業者にとってはね。ニルヴァーナが完全にターニングポイントだったもの。今ではそれが成長して、その影響が消えないところまで来たし、すぐにディスコが流行ることはないだろうね。だって、これはファッションとして生まれたものじゃないし、単なる流行でもないから。

―自分が生きている時代よりも70年代に傾倒していると思いますか?

残念ながら、そうだね。ボストンがどこで終わって、バウハウスがどこで始まったのか、もう分からない。

―あなたは自分の影響を正直に話しますよね。他の人たちがクールじゃないと思うバンドでも。

ああ、ボストン、ELOだ。自分がクールだって思われないことを理解すれば、真実を話せるようになるってもんだよ。

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE