1994年のビリー・コーガン「疎外感はない。みんなが何百万枚もレコードを売る時代だから」

1994年5月22日、オランダのランドグラーフで行われたピンクポップでパフォーマンスするスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガン(Photo by Frans Schellekens/Redferns)



―ファンも自分と一緒に成長してほしいと思いますか?

それが今現在、僕が持っている一番恐ろしい考えだね。

―つまり、恐ろしいのは、彼らはあなたと一緒に成長しないこと? それとも彼らがあなたに異論を唱えること?

僕のクレイジーさにあまり深入りしないようにしているけど、最近27歳の自分と15歳のファンのリアルな違いが、生まれて初めて見えるようになってきたってことだよ。リアルな距離がある。それは誰が悪いってことでもないけど、15歳が持っている単純で世間知らずな情熱が27歳になると消えてしまう。だから、ある時点でこう言うわけだ。「おいおい、ついにここまで来ちまったから、このことにはもう触れられないな」って。そして、やめちゃうのかな、きっと。ブルース・スプリングスティーンのような人は、明らかに、自分は一般人と変わらないと見せる努力をしないことに一生懸命なんだ。それってある意味で清々しく見えるね。

―最近の生活は以前よりも正常になりましたか?

ここ一年に関しては、これまで以上に深い悲しみを感じた。カートの死も影響していたね。あれは、自分が生きている世界の本物の悲しみを僕に感じさせたよ。

―カートとは親しかったのですか?

いや、彼は僕を嫌っていたよ。彼が僕のことをよく知っていたとは言えない。こう言うとみんなの反感を買うかもしれないけど、奇妙な形で僕たちは互いの天敵だった。一つのものの陰と陽って感じ。とても個人的なレベルでね。彼はネガティヴで暗澹たる雰囲気を吐き出していて、俺は現実離れした“君が大好きだ”的な雰囲気を吐き出していた。僕が彼と同じレベルだと思わない人もいるって知っているけど、彼との間には奇妙な同族関係があるんだよ。特に成長と孤独という点でね。僕が自分でも何を言っているのか分かっていないと、みんな言うだろう。でも、カートの奥さんとは友達だ。本物の人間をちゃんと把握しているよ。

―現在のミュージシャンは今という時代を代弁していると思いますか?

今のこの時期は、将来的に重要な分岐点と捉えられると思う。

―この流れが今後10年続いて、2000年まで持つと思いますか?

それはどうだろう。確かに今後10年、15年続きそうな才能を持った人が一握りはいる。でも、彼らがそれだけ長い間続けるだけの度胸と根性を持っているかは、また別の話だ。そうだな、ある時点で、クリス・コーネルがスクリーマーじゃなくなる、みたいな。もしくは、トレント・レズナーが網タイツをはいた怒れる男になれない、みたいな。それでも彼らは音楽を続けるかと聞かれたら、僕の答えは、彼らには確実に才能がある、だな。

―40歳の自分は何をしていると思いますか?

その前に死ぬんじゃないかな(笑)。これって、かなりパンクロック的発言だよね。どうなんだろう。そんなこと、考えたこともないから。ローリング・ストーンズを見て、彼らはこれまで5回人生を生きているってわかるだろう。きっと、最近少しずつ見えるようになったと思うけど、彼らはマジで5回も人生を生きてきた。変な考え方だろうけど、音楽というゲーム、キャリア、愚かさに深く入り込むと、過去と未来という概念が乖離して見えるようになる。だから、40歳で何をしているかという考え方は……僕はこの先5カ月生きていられればいいよ。



Translated by Miki Nakayama

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