メタリカのラーズが語る「俺が自分でも怖いと感じる唯一の点は、恐れない能力があること」の意味

メタリカのラーズ・ウルリッヒ(Photo by John Lamparski/Getty Images)



―メタリカの初代ベーシストだったクリフ・バートンが死んでから今年で30年です。彼の死をどのように乗り越えてバンドを前進させたのですか?

俺たちはウォッカに助けを求め、ウォッカの瓶を手に持ったままの状態を2〜3年続けたよ。当時の俺たちのやり方は“悪いところに目をつぶる”だった。どんな障害があっても、ほとんど酒を飲んでやり過ごしたね。22歳だぜ、悲しみの癒やし方なんて知りもしないだろう。自分の感情への対処の仕方なんて知っているわけもない。仲間を失ったことをどう理解するかなんて、わかっちゃいないんだ。前に進むしかない。質問したり、体温を計ったりできるようになるまで、決して止まらない。とにかく、前身あるのみなのさ。

―メタリカは80年代に「アルコホリカ」というあだ名を受け入れていました。節度を持って酒を飲む方法はどうやって覚えたのですか?

節度を持っていたって誰が言った?(笑) 歳を取れば覚えるよ。年齢と経験さ。飲みすぎて倒れたときに「もうこんな状態で目を覚ましたり、気を失うのは嫌だな」って思うわけだ。俺がラッキーだったのは、中毒になりにくい性格だったことだ。今でも酒を飲むし、酒以外はやらないけど、とにかく酒を飲むときには他のことをしないってルールを前に決めたんだ。

―人生で一番大事なルールは何ですか?

(笑)俺はルールが好きなタイプじゃない。昔、「自分が作ったルールは好きなときに破ることができる」って言われていたことがあるけど、俺はこの考え方を支持するよ。でも、俺は昔から最後までやり通すことを大事にしてきた。有言実行だよ。言葉で発したら本気ってことだ。これをルールと呼べるかはわからないし、俺のDNAの一部かもしれないけど、周囲の人間をイラつかせるまでとことんやってしまうんだよ。

―世界で一番好きな町はどこですか?

サンフランシスコで、その次が僅差でコペンハーゲン。でも、サンフランシスコには俺が楽しいと思う全ての要素があるね。サンフランシスコは未来を予感させるし、先を読む町だ。その一方で、きめ細かくてさまざまな物語を持った過去を持つ町でもある。俺にとって北アメリカで一番ヨーロッパ風な町がサンフランシスコで、非常に欧風な文化と社会の美学がある。海が近いし、ワインも生産されている。週末に日常から解放される選択肢もたくさんあるよ。それに世界でも有数の利口な人々が住んでいるし、文化に対する感覚が豊かで素晴らしい。例えばヒッピー・ムーヴメントとか、グレイトフル・デッドとか、音楽とか。ニューヨークともロサンゼルスとも違う。ニューヨークもロサンゼルスも仕事場としてはいいけど、心は安らがないね。

―あなたはデンマークで育ちましたよね。自分の中で一番デンマーク人だと思う点は何ですか?

この広いオデコだな(笑)。嫁さんは俺のことをくつろげる男と呼ぶ。デンマーク語の「ヒュッゲ(hygge)」が「くつろぐ」に近い言葉だけど、デンマーク人的ヒュッゲというのは、人を招いて、ロウソクに火を灯して、ワインを飲みながら語り合うというようなことなんだ。それ以外だと、自虐的な傾向がある点かな。既成概念を超えるという点で、体制に反発するのもそうかもしれない。刺激する楽しみっていうのかな。これはデンマーク人じゃないと理解できないと思うよ。

―ルーカス・グラハムが最近デンマークで最も有名なミュージシャンになりました。彼はコペンハーゲンの自治区クリスチャニアで育ちました。彼をどんなふうに見ていますか?

彼のことはフォローしているよ。数カ月前にサンフランシスコでプレイしたときに、用事ができてしまって見に行けなかった。でも、デンマーク人からインタビューを受けるときは必ず彼のことを聞かれる(笑)。彼は今デンマークで一番有名な輸出品ってだけさ。一度も会ったことはないけど、彼のことをよく知っている気になってるね。とは言え、デンマーク人は全員どこかで血がつながっているから、そのせいで知っている気になっているんだと思う(笑)。一族の一人ってね。

Translated by Miki Nakayama

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