ゲイである自分を解き放ち、トロイ・シヴァンがポップ界の寵児となるまで

ゲイであることをカミングアウトし、ポップ界の寵児となったトロイ・シヴァン(Ryan Pfluger for Rolling Stone)


青い目をして、ブロンドに髪を染め、鼻ピアスをしているシヴァン。会話では考えながら話をするタイプだが、バイクの運転も慎重だ。下り坂に差し掛かると、彼はスピードを緩めて僕を先導に立たせた。「お先にどうぞ」 坂を下りたところは交差点。半分ほど渡ったところで、いきなりエンストした。「君のもエンスト?」とシヴァンが尋ねる。信号が変わる前に、反対側の歩道までしゃにむにバイクを引いていった。どうやら僕らは、シヴァンのマネージメントチームの守備範囲外に出てしまったらしく、チームがスマホでバイクをロックしたのだった。

シヴァンは道すがら、トップ10入りした2015年のデビューアルバム『Blue Neighbourhood』に続く新作『ブルーム』について語ってくれた。「1枚目のときは、自分のやってることがよく分からなかった。1曲1曲をとりあえずまとめたって感じ。僕にとっては“大人への儀式”みたいなアルバムだった。でも『ブルーム』の製作を始めたときは、ツアーも終わって、家探しをしていた時期。恋人との関係も良好で、自分のことも理解できるようになっていた。今まで聞いたことのない音楽も聴くようになったし、クイアのたまり場にも通った。あそこでは、自分のやりたいことが何でも自由にできる。人生で初めて、自分がマイノリティじゃないと実感できた」その結果、自分らしさにあふれたアルバムが完成。アップテンポなエレクトロから、アコースティックギターをかき鳴らす「ザ・グッド・サイド」など、計10曲が収録されている。影響を受けたアーティストの1人としてシヴァンが挙げたのが、フランク・オーシャン。その他に、リプレイスメンツやフランシス・アンド・ザ・ライツ、ケイト・ブッシュ、コクトー・ツインズらの名前を挙げた。デジタル・ハンドクラップを使った1曲は、昔のマドンナに影響を受けたもので、デジタル・ハンドクラップに「ゲイらしさ」を強く感じたのだそうだ。

まもなくシアター・ツアーに出るシヴァンは、ステージで堂々と振舞えるよう、現在ダンスの特訓中。「最初のうちは、そうだな、2時間ぐらいただひたすら動きまわるだけだったよ」だが、彼はいたって楽観的だ。ようやくカフェにたどり着くと、シヴァンはアイスコーヒーを注文し、アリアナ・グランデからのメッセージを受信する。iTunesで新曲が好評だという知らせを送ってきてくれたのだ。僕にスマホの画面を見せ、シヴァンはにっこり微笑んだ。「アリアナがメッセージ送ってきたよ、トップ10だって! やったね」


2013年に「カミングアウト」と題した動画を投稿したシヴァン。


Translated by Akiko Kato

タグ:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE