米コーチェラ・フェスティバル、出演アーティストに競合フェスへの出演を半年間禁止

2018年のコーチェラ・フェスティバルに出演したビヨンセ(Photo by Andrew White)

新たな訴訟により、米最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ・フェスティバル」は、出演アーティストに対し義務期間約款として他の北米の音楽フェスに半年間出演できないという。

出演アーティストの演奏活動を制限するコーチェラ・フェスティバルの義務期間約款は、これまで考えられていたよりもかなり厳しい内容であることが判明した。コーチェラ・フェスティバルの出演アーティストは、同時期に近隣地域で開催される音楽フェスのみならず、12月15日から5月1日までの期間中に北米で開催されるいかなるフェスティバルにも出演することができない。コーチェラ主催者に対する訴訟の中で明らかになった。

今年4月、オレゴン州で開催される「Soul’d Outミュージック・フェスティバル」を運営するSoul’d Out Productionsは、コーチェラ・フェスティバルの義務期間約款が市場独占行為に当たるとして、コーチェラおよび主催のAEG PresentsとGoldenvoiceを提訴した。訴状によると、原告はシザやダニエル・シーザーをはじめとするミュージシャンに出演を依頼したところ、ミュージシャン側からコーチェラとの契約を理由に出演を断られたという。コーチェラ・フェスティバルが開催されるカリフォルニア州インディオは、Soul’d Outの開催地オレゴン州ポートランドから1000マイル以上も離れており、またコーチェラは小規模なフェスティバルに関しては例外措置を認めていた。原告側は「このような出演契約は本質的に、コンサート会場の運営を脅かすものだ」と主張している。

プロモーション会社(Amplifyの子会社)が今回民事訴訟を起こしたことで、コーチェラの出演契約に盛り込まれた競合禁止条項の詳細が明らかとなった。条項によれば、アーティストは

12月15日から5月1日に北米で開催されるいかなる音楽フェスティバルにも出演することができず、かつ、同じく12月15日から5月1日にロサンゼルス、オレンジ、リバーサイド、サンベルナルディーノ、サンタバーバラ、ヴェンチュラ、サンディエゴのエリア内で演奏を行うことはできない。

これに加え、アーティストはコーチェラのマーケティング期間中、いかなるライブ情報も「宣伝、広報、情報解禁しないこと」との文言も書き添えられていた。例えばコーチェラ・フェスティバルに出演が決まっているアーティストは、コーチェラの出演ラインナップが発表されるまでは、今後出演を予定しているアメリカ国内の音楽フェスやイベントの宣伝・告知をすることができない。また、コーチェラ終了から1か月後に当たる5月7日までは、カリフォルニア州で予定されているライブの告知も禁じられる。被告側の弁護団は、この契約内容は「出演アーティストの選定に関するクリエイティブな判断を、我々から不当に流用するおそれのある」競合団体から守るためだと主張している。

コンサート関係者によれば、こうした義務期間約款は音楽フェスでは日常茶飯事。だが近年、音楽フェスの数が増えるにつれ、約款の規模も適用範囲も拡大しているという。「義務期間約款は間違いなく年々厳しく、内容も複雑化してきています」と、Artist Group InternationalのエージェントNick Storchは『ローリング・ストーン』誌への取材で語った。「地理的な競合関係だけでなく、マーケットシェアの問題なんです。どこが最初に話題を集めるか、どこが一番すごいラインナップを揃えるか。どのフェスティバルも独自の出演契約書を作成していますから、出演依頼を受けたアーティストはしっかり目を通して、自分に何が求められているのか十分に把握しなくてはいけません」

コーチェラがアーティストと交わす出演契約の内容は基本的に非公開だが、Soul’d Outが4月に起こした訴訟よれば、コーチェラの以前の契約書にはオレゴン州およびワシントン州は競合エリアに含まれていなかった。アーティスト側は、契約内容が音楽活動に及ぼす影響について当然口をつぐんでいるが、コーチェラ訴訟に関する世間の興味は日に日に増すばかり。いずれ変革を求める声が上がりそうだ。

Translated by Akiko Kato

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