20歳になったジェイデン・スミス、俳優業と音楽とInstagramについて語る

米マンハッタンのスケートパークでのジェイデン・スミス(Photo by Jason Nocito for Rolling Stone)

ウィル・スミスとジェイダ・ピンケット=スミスの息子に直撃。スケートボード、そしてInstagramに対する複雑な心境について。

ジェイデン・スミスが生まれる7年前、彼の父親が「Summertime」という名作をリリースした。だが、太陽の降り注ぐカリフォルニアで育ったジェイダンは最近まで、この曲の良さいまいち分からなかった。「みんないつも、夏に大騒ぎしすぎだよ。ドレイクの“サマー・ゲームズ”といい、父さんの曲といい。だから自分は『それで?』って感じだった」と、20歳のラッパー兼俳優兼ファッションアイコンは語る。

だが世界をあちこち見て回るうちに、季節に対する彼の見方も変わっていった。「トロントって、めちゃくちゃ寒いんだよ! 知ってた?  やっと今年、夏がどういうものなのか、なんで夏が最高なのかちゃんと理解できた。自分のやりたいことができる! 思いっきり楽しもうぜ!ってことだよね」

最初のお題は、『Skate Kitchen(原題)』の役柄について。これはニューヨークの女性スケートボーダーたちの姿を追いかけたドキュメンタリー風のインディーズ映画で、アメリカでは8月10日より劇場公開が予定されている。ジェイデンが演じるのは、主人公が想いを寄せる相手デヴォン。ミステリアスな雰囲気で、控え目なところがまたチャーミング。ハーフパイプのスキルは人並みだが(「キックフリップはできるよ。何段かだったらオーリーもできる。簡単なやつだけ」)、人生観は常識外れ、というところがまさに彼そっくりだ。「スケートボード・カルチャーは体制にあらがうことが全て」と、ジェイデンは言う。「ようするに、『歩くのはやだ、走るのもやだ、車を運転するんでもなく、俺はスケートがしたいんだ』ってね。空を飛んでる感覚に近いかもね」

『Skate Kitchen』は、彼にとって2013年以来久々の映画出演となる。昨年はNetflixの社会風刺アニメ『ネオ・ヨキオ』でコミカルな一面を披露したが、今回さらに役者としての幅を広げた。ジェイデンいわく、クリスタル・モーゼル監督やほぼ素人のティーンの役者たちと撮影したことで、素の自分をさらけ出すことができたという。「いろんな映画に出てるけど、どれも本当の自分とは程遠い。でもこの映画は本当の自分に一番近い。僕の個性とか、ファッションのセンスも含めてね」



LA近郊の森をぶらぶら歩きながら、電話をかけるジェイデン。2017年のアルバム『Syre』をギターアレンジでリメイクした『Syre:The Electric Album』も完成間近。最終レコーディングの合間をぬけて、一息ついているところだ。彼いわく、今回のアルバムはジミ・ヘンドリックスや『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』から影響を受けたと言う。「インターネット世代に捧げる現代版サイケデリック・ロックってとこかな」。また彼は、本人いわく“徹底的なガチのラップアルバム”の『Erys』も制作中。さらに、父親と立ち上げたエコフレンドリーな飲料会社「JUST Water」を代表して、再生プラスチックに関する会議にも出席している。

彼がこれほど人気なのは、見る者を惹きつけてやまないTwitter上での個性的な発言によるところが大きい。2013年の「自分の目がリアルじゃないのに、なぜ鏡に映るものがリアルだって言えるのさ?」という彼のツイートは記憶に新しいところだ。だが、同時にSNSに対して複雑な心情を抱えていて、最近では自分のスマホからInstagramを削除するほどだ。「誰もが外見だけで判断される。そういうのから距離を置くことにしたんだよ。だから僕は、今こうして森にいて、木々に囲まれているのさ」

この話題について、彼はしばらく話し続けた。「もしInstagramやFacebookを発明した人に会ったとしたら、彼らも個人的には使ってないって言うだろうね。彼らが作ったのは快楽の循環。みんな、どれだけ“いいね”が集まるか見たくて写真を投稿するのさ。次はもっと、次はもっと、ってね。科学的にも証明されてる」。彼のこうした批判の中で唯一、父親のInstagramだけは例外だ。「父さんはすごい男さ、ちゃんと自制してるから。他の人たちは取り残されないようにとやっきになってるのにさ」

この時の会話から数日後、彼はニューアルバム『Syre: The Eelectric Album』を、Instagramへの連続投稿という形でリリースした。これもまた、ジェイデン・ワールドにあふれるロマンチックな矛盾。20歳の誕生日である7月8日にアルバムをリリースしたことからも、10代の自分を脱ぎ捨てようとする彼の意図がうかがえる。「アルバムを出すたびに、どんどん若返っていくんだ」とジェイデン。「20歳になんてなりたくないよ! 20歳って、なんだかスーツを着なきゃいけない気分だろ。そんなのごめんだ。だからこれからは、心の中で、自分はまだ19歳だって言い聞かせるんだ」

その一方で、20歳という年齢が、さらに高みに上るための出発点とも感じている。「ずっと自分がやりたいように行動していく。そんな僕を、人はクレイジーだって呼ぶけどね」



Translated by Akiko Kato

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