魑魅魍魎のジョニー・デップ裁判、本人が内情を明かした密着ルポ

米ローリングストーン誌の記者は3日間に渡り、ジョニー・デップを密着した(Matt Mahurin for Rolling Stone)


デップの弁護団はデップのスタッフが書いたメールを証拠として提出した。これはジョエル・マンデルがデップに危機的状況にある事実を告げる必要があったとレイバーンが主張する時期を詳しく物語る内容で、彼は状況を告げに行ったが緊張しすぎて「小さな丸石を持って自宅に戻った」と書いてある。そのスタッフは、ディズニーから支払われた再使用料によってマンデルは会社のスタークライアントと嫌な話をしないで済んだとも書いていた。(マンデルに近い関係者が彼は一度も丸石など持っていなかったと主張している。)

一方、マンデルの弁護士はレイバーンの信頼性を追求した。レイバーンは、自分はデップに月間財務報告書が送られるのを見たことはないが、だからといって送られていなかったとは言い切れないことを認めた。彼女とデップの距離が遠いことを証明するため、マンデルの弁護士はレイバーンを誘導して、彼女がデップと話したのは二度だけで、二度ともデップのeBayアカウントの件だったことを認めさせた。そして、マンデルの弁護団はレイバーンが学歴を詐称していたこと(ビジネスの学位を持っているとしていたが実は持っていなかった)、デップの財務関連のブリーフィングを行うTMGチームに入っていなかったことも指摘したのだった。

そうは言っても、レイバーンの証言の影響は否めなかった。彼女の証言が終わる頃、デップの弁護団は証言時間の延長を申請した。カンプはこれを拒否し、もし証言させたければ裁判所命令を取ることを要求し、もし裁判所命令を申請したら当然拒否することも付け加えた。そのため、レイバーンが再び証言台に立つことはなかった。

デップの訴訟で主張されていることの一つが、マンデルがインサイダー取引で有罪ということだ。デップの弁護団によると、マンデルはデップの資金150万ドルを、デップの許可なく、ヘッジファンドのライオンハート社に送金した。アメリカ証券取引委員会によると、マンデル兄弟がこのライオンハート社の一部を所有している。ワルドマンはTMGはライオンハートを所有している事実を一度も公開したことがないと申し立てている(TMGはそれに関しては何度も会話に上がっていたと主張)。2008年、マンデル兄弟はデップの銀行口座に32,000ドルという小額の利益を加えて150万ドルを返金した。デップの投資利益はたったの0.3%で、この説明としてマンデル・チームは、(投資は)現金に困っていたデップに金が必要だったためで、(利益の小ささは)その頃マーケットが世界的金融不況だったためと述べた。

慢性的にデップの税金の支払いが遅れたことはTMGにとってマイナス点となった。

「俺は何も知らなかった」と言ったデップは、このときだけは本気で心配そうな表情をしていた。「もしアメリカ合衆国政府に税金を払う気がなくて払っていないなら、税務署から担当者が来て払えって言うだろうし、払わなきゃ刑務所に行くことだってあるだろう」と。

マンデル兄弟がすべてはデップの資金繰りが理由だと主張していたが、最初TMGに雇われ、のちにエド・ホワイトに雇われた税理士ミリアム・フィッシャーは、TMGには選択肢が2つあったと述べた。一つはクライアントの財務状況を改善して、期限通りに税金を支払わせることで、もう一つはアメリカ国税庁(IRS)を銀行代わりに使わずに、銀行や商工ローンなどから借金して税金を払うことだと説明し、「TMGにはたくさんの選択肢があったにもかかわらず、彼らが選択したのは最悪の方法、つまり国税庁を債権者にした」と述べた。

デップの訴訟への注目がTMGにも光を当てることになり、これまで目立たないようにしてきた彼らにとっては喜ばしいことではなかった。8月には、アメリカ証券取引委員会と国税庁がマンデル兄弟をマネーロンダリングと詐欺の疑いで調査する準備を進めていると、ウォール・ストリート・ジャーナル誌が報じた。(マンデルの弁護団はワルドマンが通報したと信じているが、ワルドマンはそれを否定している。)

連邦政府によるこの調査がどのような結果になるのかはわからないし、今のところは何も見つかっていないが、マンデル兄弟が自分たちのトラブルの原因として責めているのがジョニー・デップであることだけは確かだ。TMGの弁護団が次のような声明を出した。

「30年間に渡ってビジネスを行ってきて、過去も現在も問題を提起したクライアントはジョニー・デップを除いては一人もいなかった。彼は当社に関する悪意のある、事実無根の嘘を撒き散らしている。デップがでっち上げた申し立てをTMGは積極的に防御し、打ち倒す所存だ」


デップのロサンゼルスのマンション。14ある自宅の一軒。

3日目、私はホテルに戻って熱いシャワーを浴び、服を着替えてからデップの家に向かった。

「ここにいればよかったのに」とデップが言った。

下着を変える必要があったと言うと、彼はニヤッと笑った。

「だから俺は2枚履いているんだよ」と言ってデップが微笑んだ。「実は今、コンドームを6枚つけている」。私は思わず笑ってしまった。それが彼を調子づかせたらしく、「デンタルダム(※オーラルセックス用のゴムのシート)もあるから、もし使うならどうぞ」と続けた。

Translated by Miki Nakayama

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